「残業おじさん」と「帰りたい若手」溝を埋める方法 そもそも残業は必要?何を評価軸にするか

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もちろん、社員に評価は伝えなくても、社員の昇給・賞与は決められています。しかし、これでは社員は昇給・賞与の金額が自分の評価だと考えざるをえません。昇給・賞与の金額が昨年より少なくなると、評価が下がったと思い込み、社員はやる気をなくしてしまいます。

働かないオジサン・オバサンが発生した本当の理由も確認しましょう。自分の昇給・賞与が昨年より増えていた場合、社員は自分の評価は昨年よりも高くなったと誤解することになります。

これが「働かないオジサン・オバサン」を生み出した本当の理由です。特に、年齢給・勤続給は評価に関係なく増えるため、問題は発生し続けます。

今でも「働かないオジサン・オバサン」が社内に生まれ続けているのは、このように会社の人事制度がまったく機能していないことが原因なのです。

そのうえ昇給・賞与を決める調整会議では、上司による評価は参考程度にすぎなくなっています。

昇給や賞与を決める際に、直属の上司による評価は参考程度にしかなっていません。なぜなら、昇給・賞与を決めるために調整会議を行っているからです。

一方で社員はそのことを知っている可能性があります。この会議で昇給・賞与が決まるのであれば、上司から高い評価を得る必要はないと考えてしまう若手社員も出てくるでしょう。

このままではZ世代と先輩世代の価値観の違いから、問題が発生するでしょう。

成果が上げられなくても、残業していれば会社は評価してくれるだろうと思っている世代の社員がいます。特に昭和のオジサン社員です。確かに残業して仕事をしている様子を上司が見て「頑張っている」と評価していた時代があったのも事実です。

世代間による価値観の違い

この世代のオジサン社員とZ世代の若い社員では、仕事に対する価値観が異なります。成果があまり上がっていないのに残業せず定時に帰るZ世代の社員の行動は、オジサン社員から見ればとても理解できません。「今の若い社員はやる気がない」と考えてしまう可能性もあるでしょう。

でも、Z世代の社員は決してやる気がないのではなく、仕事に対する価値観が違うだけなのです。この世代間による価値観の違いを理解しないままでは、組織内がギクシャクしてしまいます。

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