緊張は「失敗したくない」という意識散漫な状態 それでも会議やプレゼンで結果を出す方法

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以下は強制的に話すペースを遅くするやり方です。

① 間を入れる

「本日お伝えすることは、3点です」(1、2、3と、3秒「間」を入れる)

「1つ目は、当社の創業目的について」(1、2、3と、3秒「間」を入れる)

「2つ目は、当社が取得した特許について」(1、2、3と、3秒「間」を入れる)

「3つ目は、特許を活かした新商品についてです」(1、2、3と、3秒「間」を入れる)

間を入れると、沈黙時間が生まれて怖いかもしれません。でも、話すスピードは確実に遅くなります。間がブレーキの役割を果たすからです。そして、間を入れることで呼吸を整えることもできます。緊張したときは、ちょっとやりすぎくらい間を入れて、話すペースをスローにしてみてください。

② 聞き手を見る

「聞き手を見たら、ますます緊張してしまう……」、という人もいると思います。でも、お化け屋敷が怖いからといって、目をつむって入ったらどうでしょう。余計怖いですよね。

これは緊張したときもいっしょ。「自分は緊張している……」「聞き手もそれに気づいている……」「あがっているところを見られて恥ずかしい……」なんて、実際聞き手は何にも感じていないのに、自分勝手にいろいろ考えると、さらに緊張して話すペースは加速します。だからちゃんと聞き手を見て、状況を把握する必要があるのです。実態をつかめれば、落ち着いてゆっくり話すことができます。

話すペースをコントロールする

③ 質問を入れる

会議の発表や、プレゼンをするとき、聞き手に「〇〇さんはどう思います?」と質問を入れます。するといったんボールが相手にいきます。この瞬間話すことが休止され、この隙に速くなったペースを戻すことができます。

話し方すべて
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聞き手が大人数で、直接質問できなかったとしても、「ここまではよろしいでしょうか?」と質問し、聞き手に頷いてもらう。「このまま進めてもよろしいでしょうか?」「いったん話をまとめてもよろしいでしょうか?」と質問し、合意をとる。これもブレイクになります。違和感がないくらい、適度に質問を入れていきましょう。

一方的に話し続けると話すスピードもどんどん上がります。それを阻止すべく質問をうまく取り入れるのです。

あがってしまうのは仕方がないことです。ただ、何も処置せずに突っ走ったら、緊張し続けて終わることになります。ドキドキする気持ちはすぐに変わらなくても、話すペースは自分でコントロールできます。

まずはペースをスローにすべく、「間を入れる」「聞き手を見る」「質問を入れる」の中から、できるものを試してみてください。

桐生 稔 伝わる話し方の専門家

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きりゅう みのる / Minoru Kiryu

モチベーション&コミュニケーション代表取締役、日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー、日本声診断協会音声心理士。2002年、大手人材派遣会社に入社。営業成績がドベで新卒3ヵ月にして左遷される。そこから一念発起し、全国売上達成率No.1を実現。その後、音楽スクールに転職後、事業部長を務め、2017年、社会人の伝わる話し方を向上すべく、モチベーション&コミュニケーション設立。これまで全国40都道府県で年間2000回にわたり「伝わる話し方」のセミナーや研修を開催してきた。テレビ朝日とABEMAが共同製作する『マッドマックスTV論破王』ではディベートの審査員も務めている。
 

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