「何不自由なく育った少女」が道を踏み外した悲劇 はためには「穏やかで仕事熱心な両親」だが…

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実はリントは「半グレ」と呼ばれる組織のメンバーである。半グレの仲間は同じような成育歴を持つ者が多い。お互いにあまり干渉せず、金儲けなど利用したいときだけ組織を利用するというのが、リントがこの組織を気に入っているポイントだった。

リントは、キャバクラのマネージャーをしながら、そこで働く女性に多額の借金を負わせては売春をあっせんすることを生業としていた。店の女の子にやさしくして言葉たくみに自分に貢がせ、借金が大きくなると売春させるのである。

アヤノはリントの手口にまんまとハマっていたのだった。いつのまにか、アヤノの借金はふくらんでいた。

「どうしよう。このままじゃ破産してしまう」

不安で震えていると、リントは売春のあっせんを手伝わないかと言った。断る理由はどこにもなかった。

アヤノは売春のあっせんを繰り返し、逮捕されるに至った。

一見、親としての義務を果たしているようでも

アヤノの両親は、どちらも仕事中心の生活を送っており、子どもの養育に関心がありませんでした。衣食住は保証しているのだから、何も問題はないだろうという態度です。

実際、経済的には余裕があり、生活上困ることはありません。手料理ではなくとも、栄養のある食事を用意できたし、快適な家に住んでいます。そして、表面的には親らしい言葉かけをしていました。「車に気をつけるのよ」「お友だちと仲良くね」「ほしいものがあったら買っておいで」といった言葉です。手をあげたり暴言を吐いたりすることはなく、忙しいながらも一見穏やかな家庭に見えるでしょう。

忙しい共働き家庭の人は「うちに少し似ているのでは……」と思うかもしれません。しかし、決定的に違うところがあります。子どもの話を面倒くさがって聞かないところです。忙しいから「あとで聞く」のではなく、ずっと聞かないのです。子どもに関心がないから、常に自分優先です。

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