東京の満員電車再来?「鉄道混雑」どう変わったか 2022年度、国交省データを独自集計ランキング

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1位の日暮里・舎人ライナーは、ゴムタイヤ式の小型車両5両編成が走る路線。コロナ禍以前からラッシュ時の混雑が激しく、過去には混雑率189%を記録している。設備の制約で増発や車両増結が難しい中、交通局は定員の多い新型車両の投入を進めており、輸送力は2021年度に比べて51人分増えた。一方で輸送人員は約570人増加し、混雑率は9ポイント上昇した。

2位の西鉄貝塚線もワースト上位の常連だ。福岡市郊外を走る約11kmの短い路線だが、以前から首都圏以外では有数の混雑路線。列車は2両編成で輸送力には変化がなく、利用者増がそのまま混雑率の上昇につながった。

この上位2路線のように輸送力の小さい路線は、わずかな利用者数の増減で混雑率が大きく変化する。2021年度は151位で今回8位となった広島電鉄2号線(東高須→広電西広島)は、輸送力が2550人分から2250人分へ減少した一方で輸送人員は約900人増え、混雑率は87%から140%へと大幅に上がった。

利用者増1位は有楽町線

3位の埼京線、4位の武蔵野線は輸送人員がそれぞれ4910人、1750人増加し、輸送力に変化がないことから混雑率が上昇した。2021年度比で輸送人員が3000人以上増えたのは22区間あり、最も増加したのは東京メトロ有楽町線(東池袋→護国寺)の1万2767人。次いで東西線(高田馬場→早稲田)の1万0015人、副都心線(要町→池袋)の9195人と、東京の地下鉄3路線がトップ3を占めた。22区間のうち20は都内の路線で、首都圏の通勤利用回復が進んでいることがうかがえる。

2022年度鉄道混雑率・輸送人員が3000人以上増えた区間

一方、2021年度の25位から5位に浮上した京浜東北線の川口→赤羽間は、利用回復だけでなく輸送力の減少も混雑率上昇の原因となっている。同線は2022年3月のダイヤ改正で、朝通勤時間帯の大船方面行きを1時間当たり最大25本から23本に削減。輸送力が2960人分減ったのに対して輸送人員は4690人増えたため、混雑率は2021年度の118%から142%へと悪化した。

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