「大学か職人か」10歳で決めるドイツと日本の違い 子供がシビアに才能を見極められるのは幸せか

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日本でドイツのシステムを説明すると「え、10歳で……? 早くないですか?」と言われることが多いです。日本には確かに「受験」という難場がありますが、小学校の受験に失敗したら中学校の受験に期待し、その後は高校の受験に期待して、大学受験に期待できる……という「長いあいだ夢が見られる」システムでもあるのです。

ただもしかしたら私は受験を経験していないので、このようなのんきなことが言えるのかもしれませんが……。

ドイツだと、「同じ13歳」でも「将来の大学に向けて勉学に励んでいる子」と「早い自立を目指し、早く職業を身につけることを目標としている子」が同じ教室で机を並べて学ぶことはなく、既に「違う種類の学校」で学んでいるというわけです。

ドイツの社会を見てみると……ドイツの大人は、自分の可能性について、日本人と比べ非常に現実的という印象を受けます。そうはいっても、ドイツでも最近は決断を先延ばしにするのも悪くないと考える人も増えてきていて、Gesamtschule(ゲザムトシューレ。総合学校)に子供を通わせ、少し遅めに進路を決めることも珍しくなくなりました。

努力社会VS才能社会

ドイツから日本に来て常々感じているのが、「日本は努力の社会」だということ。日本では努力がとても大事にされていると様々な場面で感じます。

例えば日本のマスコミは、ノーベル賞を受賞した人や、スポーツで成功した人を取り上げるときに、「その裏にある長年の努力」にスポットを当てることが多いです。子供の勉強に関しても、一生懸命勉強すれば、成績が上がる! 努力すれば受かる!と励まします。「どんな子でも頑張ればできる!」という信念に近いものがあります。

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