自衛官育成の「防大」意外と個性豊かな学生の8系統 苦学生、秀才、型破り、愛国心タイプまで

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2┃ あふれる愛国心タイプ

このタイプの学生は高校生のときから国防への意識が高く、「日本の国防は俺に任せろ!」と鼻息荒く防大にやってきます。勉強熱心で真面目な人が多く、入校当初から「ドイツ軍の戦車は〜」や「自衛隊の新型小銃は〜」などの細かい知識を同期に披露し、防衛学の講義でもマニアックな知識を駆使してレポートを仕上げてきます。一方で、この手のタイプは得てして理屈っぽく不器用な人が多いです。防大の細かい規則や小銃の扱いに苦戦し、しょんぼりとしている姿をよく見ます。

細かい知識が豊富でオタク気質な人が多いので、「歩く愛国心」や「1人だけの参謀本部」などと揶揄されることも多いですが、まんざらでもない顔をしているところにかわいさがあります。「戦時中のラジオ放送のマネ」など、マニアックな小ネタを持っていることが多いです。

合格して興味を持つ学生、親が自衛官の学生、苦学生

3┃ 航空機のパイロット志望

防大入校後に適性があれば、卒業後に航空機パイロットの道に進むことができます。そのため、広報官は「パイロットになれるよ! トップガンになろうよ!」と狂ったようにキラーフレーズを連呼し、パイロットへの夢を持った高校生たちを大勢導いてきます。

ただパイロットになれる人は一握りであり、大抵の学生は視力で「適性なし」という判定になります。しかし、「適性がなくても仕方ないよね」と陸上自衛隊の道に進み、卒業後は戦車部隊などで活躍しているパターンもあります。それが人生ですね。

4┃ 地方の進学校出身者

防大受験は公務員試験扱いのため、受験費用は無料です。受験時期も秋頃とほかの大学よりも早いため、地方の進学校では「この時期に防大に合格できる実力があれば◯◯大学は受かる」と模試感覚で生徒に受けさせます(北海道・九州に多い印象です)。

そうした理由から、防大では筆記の後の2次試験で「興味がないので行きません」と辞退者が続出します(防大は1次試験の筆記試験に合格すると、2次試験が面接・身体検査になります)。

しかし、中には「興味がないけど、合格は欲しいな」と試験を受けて合格し、その後に「興味はなかったけど、合格したら自衛隊に興味が出てきた」などの理由でやってくる新入生もいます。一見すると志がないように見えますが、彼らは地頭がよい人が多く、体育会系の部活で活躍していたケースも多いです。総合的にバランスが取れているので、メキメキと防大で才能を発揮します。

彼らを見ていると「防大や自衛隊に入る理由はなんでもいい」ということを改めて実感できます。

5┃ 親が現職の自衛官(官品(かんぴん))

防大は親が自衛官の学生が一定数います。自衛隊は世襲制の仕事ではありませんが、親の影響を受けて自衛官になる人たちは珍しくありません(この人たちは国の支給品にたとえて「官品」と言います)。彼らは、小さいときから「防大は偉くなるし、お小遣いをもらえて最高だぞ」と言われて育ち、防大にやってきます。

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