山下達郎、中田敦彦、鳥羽周作…失言する人の急所 “釈明"が“炎上"にすり替わる3つの危険なスイッチ

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ビジネスパーソンのみなさんも、「釈明を求められたときは、自分から別の話をしてはいけない。もしするとしても、聞く側から振られたときだけにする」という原則を覚えておいてください。

最後にスッキリしたいというリスク

山下さんが押した炎上に向かう3つ目のスイッチは、締めのフレーズ。今回のような釈明の機会に限らず締めのフレーズは、スピーチ全体の印象を決定づける大切なものです。

しかし、往々にして犯しがちなのは、「『最後だから』と思うと、自分の気持ちをスッキリさせたくなって、本音をぶちまけてしまう」というミス。その点、山下さんが選んだ「私の音楽はその人たちには不要」というフレーズは、「この人は相当怒っているんだな」だけでなく、「上から目線」「武闘派」などの印象を招かせる明らかなミスチョイスでした。事実、ネット上ではこのフレーズが「嫌なら聴くな」と解釈され、ツイッターのトレンド入りしたほか、多くのメディアが報じるなど炎上のレベルが上がった感があります。

ただ下記を見ればわかるように、山下さんは締めのフレーズも途中までは「冷静に話そう」と努めていました。しかし、1つ目のスイッチと同じように、話しながら感情的になって不満を漏らしてしまったのです。

「私の48年というミュージシャン生活の中でたくさんの方々からいただいたご恩に報いることができるように、私はあくまでミュージシャンという立場からタレントさんたちを応援していこうと思っております。彼らの才能を引き出し、ともに良い楽曲を作っていくことこそが、私の本分だと思ってやってまいりました」「このような私の姿勢をですね、忖度あるいは長い物に巻かれていると、そのように解釈されるのであればそれでも構いません。きっと私の音楽はその人たちには不要でしょう」

アンガーマネージメントの観点からも、これほど怒りの感情があるときに釈明をするのはハイリスク。怒る気持ちを冷静に伝えたいのであれば、もう少し時間を空けるとともに、異なる立場の人々と意見を交わすなどの過程を経たほうがよかったのかもしれません。いずれにしても釈明の場においては、「立つ鳥跡を濁さず」という姿勢が求められることを覚えておいたほうがいいでしょう。

3つのスイッチと「長さ」の関係性

ここまで「最初は冷静に話していても、途中でつい感情的になってしまう」「本題と離れた熱弁で、釈明のバランスを欠く」「最後に自分の気持ちをスッキリさせるために本音をぶちまける」という炎上に向かう3つのスイッチを挙げてきました。

冒頭に挙げた通り、この3つのスイッチは山下さんだけでなく、騒動の渦中にある鳥羽周作さんと中田敦彦さんにも共通していました。

次ページ鳥羽周作さんと中田敦彦さんのケース
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