EV充電つけたのに「停められない」思わぬ落とし穴 マンションの管理組合を悩ませるいくつもの難題

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そして手続き上の問題をクリアし、実際にEV充電設備を設置できることになりようやく自宅であるマンションの駐車場でEVに充電できることとなった。

ところが、これまで利用してきた駐車場に新たな愛車であるEVが駐車できない……このような思いもよらない落とし穴が生じるケースがある。いったいどういうことなのか。

EVが重すぎて自宅マンションに駐車できない?

大型バッテリーを搭載するEVは、ガソリン車などに比べ車体重量がかさむ。重いのだ。マンションに設置されている機械式駐車場や自走式駐車場には重量制限が設けられている。自走式の駐車場の場合、車両総重量2000kgまたは2500kgと規定されている。

パレットに車を載せ上下させ、複数の階層にわけて立体的に駐車する機械式駐車場では、メーカーにより制限方法が異なる。まずは自宅マンションの駐車場メーカーに確認が必要だが、車両重量または車両総重量によって制限されることが多い。

ちなみに車両重量とは、車本体の重さに加え、満タン時の燃料と規定量のオイル、冷却水、バッテリーなどを加えた車重となる。車両総重量は、車両総重量乗車定員分の人の重さがプラスされた重さを指す。乗用車では、車両重量+乗員1名55kg×乗車定員数で計算される。

重いと言われるEVでは、車両の総重量2tを超えるものも少なくない。せっかく時間をかけて居住者の合意形成を得たものの、駐車場の規格に合わないという本末転倒な結果となってしまう。

また機械式駐車場では、横行昇降式や垂直昇降ピット式、タワー式、循環式などではEV充電器をそれぞれのパレットに設置可能となっているものもあるが、例えばピット式では地下パレットには水没など安全性への対策が不可欠だ。このような観点からも、駐車装置の製造メーカーやメンテナンス会社に確認を取ることが先決となる。

もう1つ、駐車場のうちのどれぐらいの区画を充電設備対応にするかについても慎重に判断することをおすすめしたい。充電設備の設置台数、設置比率については、駐車場の形式などマンション固有の事情が大きく関わってくる。加えて、今後EVを検討する居住者の有無などのアンケートも設置台数を決める際の参考にすべきだろう。

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