高等専門学校卒業生が多数学び次代を担う高度技術者を養成
「本学は、学部から大学院までの一貫した教育体系かつ、少人数教育に特色があります」と、豊橋技術科学大学スーパーグローバル大学推進室長の髙嶋孝明教授は胸を張る。
実際に、同学の入学定員は440人(2014年度)で、全学生数は大学院と合わせても2100人あまり(14年5月1日現在)と少数精鋭だ。学部は工学部のみで、80%以上の学生が博士前期課程に進むという。また、全学生のうち、約10%が海外からの留学生であるのも特長だ。
さらに特筆すべき点として、同学では国立高等専門学校(以下、高専)の本科卒業生が多数学んでいることが挙げられる。前述した入学定員のうち、3年次に編入学する学生が360人となっているほどだ。
教育制度委員会のバイリンガル教育ワーキンググループ主査の森謙一郎教授は「編入学の学生が多いことから、本学では、高度な技術者を育成するために、独自の『らせん型教育』に力を入れています」と語る。「らせん型教育」とは、学部の1・2年次および高専において、基礎・専門を学んだ学生に対して、3年次以降でさらにレベルの高い基礎・専門をらせん型に積み上げる教育を意味するという。繰り返し習得できる教育を行うことで、真に科学を理解し、新しい技術を創り出す学生を育てるのである。
同学では、実務訓練にも定評がある。4年次、大学院進学前に国内外の産業界で約2カ月間の実務訓練(インターンシップ)を正課として行っている。「今後は海外での実務訓練と、期間を半年程度に伸ばした課題解決型実務訓練の人数を増やしたい」と髙嶋教授は話す。これらが有意義な経験となることは言うまでもない。
早期から国際交流に取り組み採択を機にグローバル化を加速
豊橋技術科学大学は14年、文部科学省(以下、文科省)の「スーパーグローバル大学創成支援事業」のグローバル化牽引型(タイプB)に採択された。構想名は「『グローバル技術科学アーキテクト』養成キャンパスの創成」である。
髙嶋教授は「本学は開学以来、国際的な研究交流や留学生の受け入れなどを積極的に進めてきました。教育のグローバル化は時代の要請に応える必須条件です。採択を機に、大西隆学長が掲げる『多文化共生・グローバルキャンパスの実現』に向けた取り組みをさらに加速していきたい」と力を込める。
同学ではこれまでも、国内で特に優れた研究開発力を持つ22の機関の一つに文科省から指定されるとともに、国立大学改革強化推進事業に基づくプログラムとして、井上光輝理事・副学長が中心となり、国立大学では数少ない海外教育拠点をマレーシアのペナン州に設置し、同学の学生がグローバルな環境で教育・実務訓練を受けることができる「グローバル人材育成プログラム」なども行っている※。「新たな構想では、これまでの実績をさらに進化させるとともに、キャンパスそのもののグローバル化を目指します」と髙嶋教授は説明する。
教育のバイリンガル化を推進グローバル宿舎も新設
構想に示された「グローバル技術科学アーキテクト」とは、高い技術力と科学的素養に裏付けられ、グローバルな課題を発見し、分析・解決するための俯瞰的な構想・設計力を有して、具体的なモノづくりを主導できる人材を表すという。このような人材を養成するために、どのような取り組みを進めようとしているのか。
森教授は「『グローバル技術科学アーキテクト』養成コースの新設に加え、教育のバイリンガル化を進めたいと考えています」と話す。
「グローバル技術科学アーキテクト」養成コースは学部・大学院6年一貫、全寮制の特別コースだ。学部1・2年は各学年15人、学部3・4年と大学院は各学年65人の、総数290人で全学生の約15%、内訳は、日本人140人、留学生150人となっている。留学生の比率も高いが、森教授は「英語が得意な人だけの隔離されたようなコースにするつもりはない」と話す。コース生と一般学生が同じ教室で受講する、英語と日本語のバイリンガル講義が行われるのもそのためだ。コース生には、修了時に日本人は英語、留学生は日本語の高いレベルが達成できる、教育プログラムが用意されている。
同学ではさらに、同コースのみならず他のコースの学生、また教員・事務職員も含めたすべてのグローバル化を進めていく計画だ。ユニークな取り組みもある。グローバル宿舎の新設である。約200人を収容する多国籍学生が混在するシェアハウス型の学生宿舎で、コミュニケーション能力や国際的に通用する人間力の向上が期待されるという。グローバル宿舎のイベントは、既設の約600名収容の学生宿舎も巻き込んで実施され、キャンパス全域に広げるという。
森教授は「教育のバイリンガル化により、教養としての英語ではなく、ツールとして使える語学力を身に付けることができる。いずれこのような教育が日本の各大学に普及するのではないか」と自信を見せる。
髙嶋教授は「さまざまな取り組みを通じて、日本企業の成長を牽引する人材や日本に貢献してくれる、世界の舞台で活躍する日本人と外国人留学生を数多く育てたい」と力を込める。その言葉どおり、同学から輩出される人材に、大いに期待がかかる。