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早稲田大学は、ソニーの「デジタルペーパー」に何を期待したのか。 PCでもない、タブレットでもない、それは「ネットにつながった紙」

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少子化による入学希望者減少への対応、卒業要件の厳格化、さらにはグローバル化への対応など、いま急激な変革が求められている人材育成の最前線、大学。各大学が試行錯誤を繰り返す中、「私学の雄」として知られる早稲田大学も大きな変貌を遂げているという。今回は、早稲田大学とソニービジネスソリューションが共同で2013年から実証実験を行った新たなデバイス「デジタルペーパー」の実力について取材した。

早期からICTパートナーとしての関係を築く

2032年に創立150周年を迎える早稲田大学。2012年に策定された「Waseda Vision 150」では、アジアのリーディングユニバーシティとして世界へ貢献する大学であり続けるための、さまざまな取り組みが発表されている。その中においてICT活用を積極的に進めた対話型、問題発見・解決型教育への移行を掲げており、この計画を推進する上で頼れるパートナーの一つとなっているのが、ソニービジネスソリューション(以下、ソニー)だ。

実は「Waseda Vision 150」策定よりも前から、早稲田大学とソニーは関係を構築してきた。単純にソリューションや機器を提供するのではなく、教育環境をどのように変革していくべきかといった議論や海外の先端教育機関への共同視察などを積み重ね、新たな教育環境をともに生み出していく土壌がすでに出来上がっていたのである。そんな信頼関係を築いて来た上で行われたのが「デジタルペーパー」の実証実験だ。

紙のような「読みやすさ・書きやすさ」を備えた“新しい紙”
デジタルペーパーDPT-S1

「ネットにつながった紙」が実現させる
高品質な教育環境

早稲田大学 人間科学学術院 教授
畠山 卓朗氏

2013年の秋から早稲田大学に導入されたソニーの「デジタルペーパー」だが、まず特筆すべきは、その軽さと薄さ。A4ノートよりも軽い約358グラム、厚さ約6.8ミリで、A4サイズとほぼ同じ大きさの13.3型のデバイスには、大量のページのpdfデータが入れられる。「研究資料はもちろん、授業やゼミの課題、学生たちの論文など、いつも大量の書類を持ち歩いていましたが、今ではこのデジタルペーパーだけに集約できています」と語るのは、実証実験に参加した人間科学学術院教授 畠山卓朗氏。

気になる書きやすさについてだが、パネルにプラスチックを採用しているため視差ズレが少なく、ペンの反応も良いため、実際の紙に近い書き味を実現している。またE Ink®社の「EInk Mobius」を採用しており、長時間利用をしていても目の疲れも少ないという。さらにデジタルペーパーは、書きやすさと読みやすさだけでなく、ネットにつながるという大きな強みを持っている。「今まで学生からパソコン経由で提出されたレポートは、一度紙に印刷して添削し、スキャナでパソコンに読み込んで送り返していました。今ではその手間もなく、いつでもどこでもペーパーレスかつ手書きで添削して、そのままデータで送れるため、学生とのやりとりが格段に早くなり、質の高い指導が実現しています」(畠山教授)。

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