50種類以上!「全国ご当地グミ」じわり人気のナゼ JA全農「ニッポンエール」の知られざる狙い

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定番人気のフレーバー、1番人気は長野県産シャインマスカット(撮影:今井康一)

山田晋也さんによると、特徴は2つあるという。

「まずは都道府県別でも品種別でも“味比べ”ができる点です。都道府県という切り口で展開しているメーカーは他にはありません。加えてシリーズラインアップの豊富さです。既に39都道府県をカバーしており、来年春までには47都道府県すべてのラインアップを完成させる計画で進めています」

47都道府県のご当地味を売りにしたお菓子は他にもある。大手グミメーカーであれば、どこでもできることなのではないだろうか。

現在、全国39都道府県をカバー。47都道府県すべてのラインアップを完成させる計画

「『ニッポンエールグミ』では、JAグループならではの強みを生かした原料を使っています。一方、他社さんの商品には、原料調達しやすい、よく名前が知られた品種が使われています。たとえば山梨県の『ブラックキング』、熊本県の『ハニーローザ』などは、地元以外では知られていないブドウとスモモの品種です。熊本県に『ハニーローザ』の生産者は数十名しかいませんから、原料確保には苦労しました。生産者と関係が深い各地の農協があってこそ可能になることです」(山田晋也さん)

珍しい品種は生産量が少なく、こういった品種の原料調達と商品の製造計画では悩みが尽きないそうだ。年によって収量が大きく変化する果樹では、裏年には規格外品の流通量が大幅に減る。国産にこだわった商品の原料調達は、生産量の多い品種ですら容易ではない。

ターゲットは幅広い層、予想外の購買行動も

肝心の消費者については、どのような層をターゲットにしているのだろうか。

「幅広い層をターゲットとしています。なかでもお子さん連れの女性からは、グミを食べる習慣がなかったのに、直売所で買い物する際にお子さんが欲しがり買い与えているうちに自分もグミ好きになってしまったり、お子さんの地理の勉強になりそうだからと一緒に食べ比べしているうちに自分もグミ好きになってしまった、というお話もいただいています。手軽に旅行気分を味わえるからグミ好きになったというご年配の方もいらっしゃいます。想定外だったこととしては、珍しい品種を使った商品だと、地元企業のまとめ買い需要が起きることもわかりました」

子どもに人気のフレーバー、あまり酸味のない品種が好まれる(撮影:今井康一)

最近では、消費者から、この品種を使ったグミを商品化してほしいとの要望が寄せられているそうだ。   

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