「マイナ保険証」今あえて挙げる4つのメリット 賢く利用すれば医療費の削減などお得にも

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薬局の調剤でも6カ月に1回は同様の医療費がかかり、マイナンバーカード利用時は3円ですが、紙の保険証だと12円という差がついています。

マイナ保険証
(出所)厚生労働省ホームページ「マイナンバーカードの健康保険証利用について」

マイナ保険証に対応するカードリーダーなどのシステムが導入されていない医療機関では請求額が上記と異なることがありますが、今年の4月からは医療機関に対してシステム導入が原則義務化されていて、設置や申し込みが済んでいる施設は全国ですでに9割を超えています。

筆者も先日久しぶりに通院したクリニックで紙の保険証を提示したところ、以前はなかった6円が加算され、マイナンバーカードの有無で医療費が変わることを実感しました。

紙とマイナ保険証での医療費の差は年内まで大きく、来年以降は縮小する予定です。来年1月から紙の保険証への加算額が引き下げられ、再診時については負担ゼロになります。それでも、マイナ保険証の方がほぼ負担が少なくなる状況は続く見通しです。

③1カ月の医療費が高額になっても上限以上は請求されない

医療費そのものの負担がマイナ保険証の有無で変わるのは、上記のような本人確認時だけですが、医療費が高額になったときの補助にも違いがあります。

公的医療保険制度には、1カ月に自己負担した医療費が所定の限度額を超えないようにする「高額療養費」という補助制度があり、病院などでの請求額が限度額を超えたときには、超えた分が加入している健康保険から戻ってきます。

補助を受けるには基本的には書類での申請手続きが必要で、病院などの窓口ではいったん請求額どおりに医療費を支払ってから手続きをして還付してもらうか、あらかじめ「限度額適用認定証」という書類を健康保険や役所で発行してもらってから受診し、病院などでの請求額を限度額までに抑えてもらいます。後者の限度額適用認定証があれば病院などからの請求額が限度額に達するとそれ以上の請求はされなくなり、一時的な立て替えをせずに済みますが、事前に認定証を発行しておく手続きは必要です。

マイナ保険証があれば、限度額適用認定証がなくても1カ月の医療費が限度額を超えたときにはそれ以上の支払いが不要になります。

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