日本郵政の株主が問題視「経営ビジョンがない」 総会では増田社長が「郵便局の統廃合」にも言及

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――子会社の議決権比率について、日本郵便は100%保有だが、ゆうちょ銀行は60.62%、かんぽ生命は49.83%と50%を切っている(3月末)。経営はどう考えているのか。

西口常務執行役:日本郵便の株式は法律に基づき、100%保有することが義務付けられている。法律改正がなければ売却できない。ゆうちょとかんぽは将来的に100%売却する方針が定められている。

かんぽはすでに50%を切っているが、ゆうちょは売り出しの規模が非常に大きい点もあり、60%程度まで売却したところ。2025年までに50%まで売却を進める。

――ヤマトとの協業について。今まで他社との協業、買収もしているが成功した事例は記憶にない。収入を上げるためだけでなく、きちっと利益を上げて配当も1円でも上がるように努力してほしい。

西口常務執行役:おっしゃる通り。日本郵便は二輪車を中心に、メール便や、もう少し大きな荷物をポストに配達する点で強みがある。利益の確保は必要だが、ドライバー不足、CO2削減にも大きく貢献する。失敗がないよう万全を期して取り組む。

郵便局網の活用方法を検討

――3000億円の自己株買い(5月発表)は少なすぎるのが率直な感想。また、ゆうちょ銀行を手放して収益源がなくなるなら、代わりに安くなっている銀行株を買い、利益を積み上げられないか。

西口常務執行役:自己株買いは市場の株価に影響を与えないことを基本原則としている。数字を積み上げると3000億円が上限ではないかと証券会社等から言われている。

また、成長分野に投資することでグループ全体の企業価値を高めていく。まずはそうした投資を考える。ご指摘の提案も、さまざまな制約を踏まえたうえで、成長投資のあり方として参考にしたい。

――テレビ報道で、郵便のバイクが空き家のパトロールをしているというニュースを見た。素晴らしい活動だが、利益はあるのか?

立林常務執行役:郵便局網はさまざまな活用方策を検討、実施している。ご指摘の通り、無料では価値を高めることにならない。適切な利益を確保して取り組んでいる。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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