低迷する「どうする家康」一転して盛り上がる必然 家康は「築山殿事件」をどう乗り越えるのか

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またまた決断を迫られる家康(画像:「どうする家康」公式HPより)

18日に放送される第23回のあらすじは、「瀬名(有村架純)が武田の使者・千代(古川琴音)と密会していることを知った家康の嫡男・信康(細田佳央太)の妻・五徳(久保史緒里)が、父・信長に密告。しかし、信長は家康の伯父・水野信元(寺島進)が武田と内通していると言いがかりをつけて処分を迫る。苦渋の末に水野を手にかけた家康は、侍女・於愛(広瀬アリス)に癒やしを求めるようになり、一方の瀬名は設楽原の戦い以来、心のバランスを失っていた信康に秘めてきた大きな夢を打ち明ける」。

ポイントになるのは、瀬名の“大きな夢”の内容ではなく、武田の使者と密会していること。さらに、それを信長に知られてしまったこと。信長は家康にまず水野信元の処分を迫り、それを瀬名と信康、ひいては家康への見せしめにするという算段でしょう。こうなると歴史を知っている人は、「ついに築山殿事件の時が来たか」と感じるはずです。

史実を知らない人のために詳細は書きませんが、このところネット上では「築山殿 最期」「瀬名 最期」などの検索ワードが上位に表示されるようになっていました。実は第21回の放送でも、瀬名と信康が家康を飛び越えて信長に進言するシーンがあり、「これは築山殿事件のフラグでは?」という声があがっていたのです。特に瀬名は、「怒りの感情で冷静さを欠いた家康をフォローして場を収める」という器の大きさを見せ、それが家康が警戒心を強める伏線になっていました。

本当に「覚醒」するのは誰なのか

これまで瀬名は太陽のように明るく天真爛漫な性格として描かれ、戦で疲弊して帰ってくる家康にとっては癒やしの存在。瀬名は家康の弱さも含めて愛し、今川を出て織田と同盟を結んだことで「裏切り者の妻」と言われて窮地に立たされたときも、その気持ちは変わりませんでした。ここまでは近年の大河ドラマでも屈指の良妻と言っていいでしょう。

家康にとってそれほどかけがえのない最愛の妻、さらには大事な嫡男を最悪の形で失ってしまうとしたら……。第23回のタイトルは「瀬名、覚醒」ですが、ここから3回の物語は「家康、覚醒」のきっかけとなる前半戦最大の山場になりそうです。

家康の生涯にはさまざまな出来事がありましたが、「どうする家康」におけるターニングポイントは天下分け目の「関ヶ原の戦い」でも、戦国の世が動いた「本能寺の変」でも、豊臣秀吉(ムロツヨシ)の死去でもなく、「築山殿事件」なのでしょう。

次ページこれまでの作品での「瀬名」の描かれ方との違い
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