自民・公明の激突「出来レース」説も囁かれる事情 早期解散絡む両党協議の裏に自民権力闘争の影

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こうした状況を受け、野党第1党の立憲民主からは「政策ではないところで信頼関係が壊れた選挙連合は、全国にも波及する」(泉健太代表)として、自公対立激化を“歓迎”する声も相次ぐ。これに対し自民都連の関係者は「東京28区をめぐる自公の決裂は実は出来レース」としたり顔で解説するなど、虚実取り混ぜた神経戦が続いている。

対立の“元凶”は茂木氏、“主犯”は萩生田氏?

そもそも、今回ここまで公明を怒らせたのは、自民の選挙司令塔で調整役のはずの茂木幹事長の「問答無用」の対応とされる。さらに、その裏には東京都連会長の萩生田光一政調会長の暗躍があるとの見方も出る。

麻生副総裁と共に「反公明」の立場の茂木氏があえて表舞台で公明を怒らせ、その舞台裏で東京28区、29区問題に個人的利害が絡む萩生田氏が、“公明追い出し”を画策したというのだ。

これまでの交渉で、自民は公明に対し、同28区の代わりに候補者が決まっていない同12区(北区と板橋区の一部)か同15区(江東区)を譲ると提案したが、協議は決裂したとされている。

ただ、この「15区案」は同区内の自民の複雑な事情を踏まえて、萩生田氏が都連会長として持ち出したとされる。しかも12区は太田昭宏前代表時代からの公明の地盤だ。このため、「最終的には、公明に12区を渡して手打ちするシナリオ」(関係者)もささやかれる。

こうした複雑な駆け引きが続く中で、注目されるのは岸田首相の立ち位置だ。もともと、岸田政権発足前から、岸田首相の地元での「広島3区」問題が対立の火種となってきた。

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