ああ勘違い!「年収130万円の壁」で損する人の誤解 扶養の基準と社保の加入基準は全くの別モノ

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一方で、税法上の扶養は「配偶者と6親等内の血族および3親等内の姻族」となっており、収入要件については必ず1~12月の暦年で考えるという点で、健康保険の扶養とは大きく異なります。

また、健康保険の扶養には「検認(扶養再認定)」というものがあります。これは、健康保険組合等が、被扶養者として認定している方がその後も認定基準を満たしているかを確認することを目的として、原則、毎年実施しているものです。

特に最近は、扶養認定の際に被扶養者のマイナンバーの記載が必要になり、被扶養者の収入要件が厳格にチェックされています。検認の際に、被扶養者の収入が基準よりもオーバーしていると、さかのぼって被扶養者の資格を取り消されることもあり、もしそうなると、その間の医療費が追加で請求されるなど、予期しない高額な出費を強いられる可能性もあります。ですから、年収130万円を超えたら(超える見込みとなったら)、扶養を削除する届出を必ず行うようにしてください。

社会保険に加入する要件は年収だけではない

2.社会保険に加入するための壁

Kさんのように年収130万円を超えたら(超える見込みとなったら)扶養から削除され、勤務先の社会保険に加入すると思っている方は多いものです。しかし、社会保険に加入する要件は年収だけではありません。

正社員として働く方は勤務先の社会保険に当然加入しますが、パートやアルバイトで働く方も「1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上」(通称:4分の3要件)であれば、本人の意思にかかわらず強制的に加入となります。

例えば、勤務先の正社員が1週間の所定労働時間が40時間(1日8時間×週5日)だとすると、1週間の所定労働時間が30時間未満のパート・アルバイトだと社会保険に加入できないということになります。

つまり、年収が130万円を超えても「4分の3要件」に該当しなければ、勤務先の社会保険に加入することはできずに、国民健康保険、国民年金に個人で加入しなければならないのです。

ただし、この「4分の3要件」は2016年10月から段階的に適用拡大が行われています。

次に、勤務先によって社会保険の加入条件が異なる社会保険の適用拡大について説明していきます。

3.社会保険に加入となる新たな壁

社会保険の適用拡大は、以下のように、その対象となる会社が増えてきています。

2016年10月~ 従業員500人超
2022年10月~ 従業員100人超
2024年10月~ 従業員50人超
※従業員は会社単位で社会保険に加入している被保険者の人数でカウント
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