岸田首相「親バカ人事」の果て"長男更迭劇"の痛手 ネット“大炎上"で支持率下落に対応迷走

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4月の衆院山口2区補欠選挙に出馬、当選した元防衛相の岸信夫氏の長男・信千世氏が、出馬表明時に自身のホームページに家系図を載せ、猛批判を浴びて削除したことは記憶に新しい。同氏は慶応大時代、翔太郎氏と同期だ。このため、広島の岸田後援会幹部も「信千世氏と同様に、翔太郎氏も岸田首相の跡取りとして衆院議員を目指すのだろうが、有権者が今回の不祥事を忘れてくれるかどうか」と顔をしかめる。

6月1日に発売された文春では予想通り公邸忘年会の詳細も含めた「続報」が報じられた。「大ハシャギ 岸田一族の正体」という大見出しで、新たな写真も掲載されたが、岸田首相らが心配した「乾杯写真」はなかった。ただ、「悪ふざけ」をした男女と岸田首相や翔太郎氏とのそれぞれの姻戚関係は仮名で明らかにされた。

なおくすぶる「混乱と迷走の果ての解散劇」

今回の騒動で立憲民主は会期末に内閣不信任案を提出する理由ができたと気色ばむ。自民党側は「不信任を出せば会期末解散につながる」(国対幹部)と身構えるが、与党内では「自公対立もあり、とても解散できる状況ではなくなった」(麻生派幹部)との声が広がる。

その一方で、「遅きに失したとはいえ、『長男更迭』は、会期末解散への環境づくりでは」(閣僚経験者)と深読みする向きもある。会期末まで後3週間。その間の与野党攻防の展開とそれを見守る岸田首相の心境がどう変化するのか。「混乱と迷走の果ての解散劇」の可能性はなおくすぶり続けるのは間違いない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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