友だち作りが圧倒的にうまい人が持つ決定的武器 遺伝に依拠する面があるが親密さには時間が必要

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しかし、どんなに社交的な人でも、すべての人と友人になれるわけではない。では、日常で出会う多くの人のなかから、どのように友人を選んでいるのだろう?

その答えは、一見シンプルに見える。自分と似た人と友だちになるのだ。同じ年代、性別、仕事、倫理観。この自分と似た人に惹かれるという傾向もまた、遺伝に関係していることがわかっている。実際、あなたとあなたの4親等のいとこが似ているように、あなたと友人も遺伝的に似ているのだ。

これは、友情という大きな謎の一部を解き明かすための答えを提供する。協力は、私たちの健康やウェルビーイングにとって不可欠だ。しかしなぜ、見知らぬ他人に対しても簡単に協力できるのだろう?

進化論的には、友人ではなく親族に協力すべきだ。というのも、親族との遺伝的類似性によって、間接的に利益を得ることができるからだ。共有する遺伝子が多く受け継がれるほど、あなたも別の人間によって次世代に引き継がれていく。

友人が偶然にも、予想以上に似通った遺伝子をもっているとしたら、その人はまったくの他人ではなく「任意の親戚」なのかもしれない。

誰かと友だちになるのは価値がある

遺伝的に似ている人をどうやって識別するかは、また別の問題だ。さまざまな研究によると、顔の特徴、声、ジェスチャー、匂い、またはこれらすべての類似性に起因する可能性が示唆されている。性格は遺伝子によって形成されることから、性格が似ている友人は、共通の遺伝子をもっている可能性が高い。

人を惹きつけるものが何であれ、ひとつたしかなことは、誰かと友だちになるのは価値があるということだ。映画『テルマ&ルイーズ』や『40男のバージンロード』を観なくても、人生における友情の大切さは明らかだし、何十年にも及ぶ実証研究に目を向けずとも、友情が幸福や健康に関連していることは間違いない。

これは性別、民族、文化グループ、いずれにおいても一貫して同じことが言える。実際、実証研究に目を向けると、あまり社交的でない人は、一定期間内に死亡する確率が、社交的な人に比べて50%も高いことがわかっている。のちほどもう一度触れるが、社会的孤立は、飲酒や喫煙と同じくらい身体に悪く(ある試算では、1日15本の喫煙に匹敵すると言われている)、運動不足や肥満よりも健康を損なう。

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