「PBR1倍割れ」でも稼げる企業を探す簡単な方法 日本企業が厳しい国際競争で生き残っていくには

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そこで実際に過去、ROEが8%以上にもかかわらずPBRが1倍を割れていた企業の株式収益率がその後どうなったかを検証しました。

分析方法は次のようです。毎年の年末にTOPIX(東証株価指数)を構成する銘柄のうち、「ROEが8%以上でPBRが1倍割れ」の企業を選びます。それらの企業に同じ金額を投資した場合の収益率を2008年から2022年まで累積してみました。

この結果15年間で642%の収益率となりました。同期間の日経平均株価の騰落率が70%であったことから、これを大きく上回っています。ROEが8%以上でPBRが1倍割れは、その後の株式パフォーマンスが良いことがわかります。

銘柄を実際に探す方法

それでは、実際に「会社四季報オンライン(無料版)」のスクリーニング機能を使って、こうした銘柄を探す方法を紹介しましょう。

例えば、東証プライム銘柄を母数としたスクリーニングでは、次の条件を設定します。スクリーニングの「新規作成」タブを選びます。


「条件の追加」タブから、1つ目のキーは、スクリーニング項目の中で、「指標シグナル」→「指標」から「ROE(前期)(%)」を選んで、「≧8(8以上)」を設定します。さらに、2つ目のキーは、「条件の追加」タブから同じように、「指標シグナル」→「指標」から「PBR(前期)(倍)」を選んで、「<1(1未満)」を設定します。

最後に「スクリーニング結果の絞り込み」で「市場」を「東証プライム」に設定した後、「検索する」のボタンをクリックすれば、企業リストを見ることができます。

リストは銘柄コード順になっていますので、リストの表題「ROE(前期)(%)」をクリックすると、「ROE8%以上、PBR1倍割れ」の企業をROEの大きさ順に見ることもできます。皆さんも株式投資先を考える際や、企業を見るうえで参考にしてみてください。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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