「依存させて強盗」ギャンブルが導く恐ろしい選択 借金1000万、家族離散になってもやめられない

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夫は自己嫌悪からうつ状態に陥り、「ベルトで首を吊ろうとしたけど、うまくいかなかった。生きていてごめんね」と語るまでになった。

一方、Aさん自身も「夫は死のうとしているんじゃないか」「またギャンブルで借金を作っているんじゃないか」という思いが、四六時中頭から離れなくなり「正常な判断力がどんどん失われていきました」と振り返る。

借金1000万、マンションを売却するも再発

夫自身も「何とかしなければ」と必死で相談先を探し「ギャンブル依存症問題を考える会」につながった。夫は当事者の、Aさんは家族の自助グループにそれぞれ通い始め「苦しんでいるのは1人じゃない」と心の安定を取り戻し始めた。

しかし借金は最大1000万円に達し、返済のため年金で暮らす双方の親から計200万円を借りたうえ、自宅マンションも売却した。しかし「借金を返せば、ギャンブルで取り戻そうともしなくなるだろう」というAさんの思いもむなしく、夫はマンション売却後「抜け殻のようになり、依存症が再発してしまったんです」。

Aさんは夜、財布などを抱いて寝るほど警戒していたが、夫は隙をついてAさんのクレジットカードと銀行口座の情報を盗んでいた。「このままでは子どもにも被害が及びかねない。もう限界だ」と感じ、夫に自宅を出るよう告げた。夫は精神科に入院したが、その後も一度再発している。

Aさんは現在、夫との連絡を絶っている。生活に不安もあるが、まずは子どもと自分が暮らしていくことを考えたいという。

「家族を引き離し、本人を孤独に追いやってしまうのがギャンブルの恐ろしさ。私たちのような家族を減らしたいというのが一番の思いです」

実はAさんの夫は昨年6月、「考える会」の記者会見でメディアの取材に応じていた。そこで語られたのは、オンラインカジノによって急激に依存症へ陥った実態だ。

彼はそれまでも競馬やパチンコをしていたが、コロナ禍でパチンコ屋も場外馬券場も閉まってしまったため、SNSのアフィリエイト広告で見つけたオンラインカジノ(オンカジ)に手を出した。24時間、スマホで手軽に賭けられるため「朝の業務時間前に昼休みや終業後、ひどい時は業務中もオンラインミーティングに出ながら、ルーレットをしていた」と振り返っていた。

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