勃発!「セブンvs物言う株主」委任状争奪戦の行方 バリューアクトの株主提案にセブンが徹底抗戦

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今セブン&アイは、3つの苦難に見舞われている。

1つ目が、これまで見てきたようにアクティビストからの攻勢だ。今回、バリューアクトが提出したのはあくまでも取締役の選任議案だ。これまでさまざまな構造改革を打ち出しておきながら、そのほとんどを達成できていない経営陣に対してノーを突きつけている。

しかし真の目的はそこではない。バリューアクトが実行したいのは、イトーヨーカ堂やそごう・西武といった不採算事業からの撤退と、コンビニエンスストア事業のスピンオフ(分離・独立)である。コングロマリットディスカウントがなくなり、株価が上昇するとみているからだ。

実はセブン&アイがこうした要求を受けるのは今回が初めてではない。2015年にやはりアクティビストの米サードポイントが、イトーヨーカ堂の分離などを求めた。

バリューアクトも22年に一度、同じような要求をしているものの、セブン&アイが社外取締役を大幅に増員したことからいったん矛を収めた。しかし新たな社外取締役も経営陣の言いなりで事態が改善されないとして、今回、株主提案に踏み切ったわけだ。

不採算事業がいくつも残されている

2つ目の苦難は、不採算や低収益の事業について、事業売却や再建計画が進んでいないことだ。スポーツ用品のオッシュマンズや、インテリアのフランフランなど一部は売却したものの、不採算事業がいくつも残されている。

その最たるものがヨーカ堂とそごう・西武だ。2社はともに赤字を垂れ流しており、19年度からの4年間で両社が計上した最終赤字は合わせて750億円にも上る。

このうちヨーカ堂を中心としたスーパー事業は、今後3年をかけ抜本的な改革を改めて行うとしている。「18年間にもわたって構造改革といいながら成果が出ていない。その間に2500億円以上もの特別損失を計上している」(バリューアクト)にもかかわらずだ。

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