ジャニーズタレントに「CM降板」の可能性はあるか 社会的な正しさとのジレンマの中で企業はどう動く

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ベッキー氏の不倫が大きな問題になったのは、それまで彼女はスキャンダルがなく清廉潔白なイメージが強く、教育、生命保険、製薬といった公益性の高い企業がスポンサーとなっていたところも大きい。

近年、企業においてはコンプライアンスが重要視されているのみでなく、積極的に「善行」を行っていこうという動きがある。

こうした流れは経営レベルの動きに留まらず、広告などの個々のマーケティング活動にも広がっている。

今後の問題の広がり方次第では、文藝春秋社のアンケートで回答をした企業、あるいは回答をしていなくとも社会意識の高い企業は、ジャニーズ事務所に対して経営責任を問う可能性もある。

短期的には降板はなくとも、起用を継続しないスポンサー、新規にジャニーズタレントを契約することを控える企業や団体も出てくるかもしれない。

「広告」騒動に見る、広告業界の確かな変化

また、広告業界も変わりつつある。

大手広告代理店の博報堂が発行する雑誌『広告』に掲載された記事について、ジャニー喜多川氏の問題について言及した部分が、同社の広報室長の判断で削除されていたことが判明し、波紋を呼んだ。

編集長の小野直紀氏は、編集時には文章をそのまま掲載することを強く主張していた。しかしながら、広報室の判断で、記事末尾に「本記事は、ビジネスパートナーであるジャニーズ事務所への配慮の観点から、博報堂広報室長の判断により一部表現を削除しています」と記すという折衷案で発刊されることになったとnoteにおいて説明している。

ネット上では、博報堂の(ジャニーズに対する)忖度について批判する声が優勢であったが、広告業界で長く働いていた筆者はネットの論調とは逆の評価をしている。

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