コンサルで通用する思考力は「小学校国語」で学ぶ 文章読解で学んだ「構造を読み解く力」とは?

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そんなことが評価されるのか、とそのとき思ったものです。そういえば、入社後も分析は全然ダメだけれど、インタビューのメモはほめられることがありました。

そこに気づいたところで分析ができるようになったわけではもちろんなく、定量分析の苦労はしばらく続きましたが、自分の付加価値の付けどころとして、メモや資料のストーリーを意識できるようになったことから、仕事にいろいろな意味でメリハリをつけられるようになり、気分的に楽になってきたのです。

小学国語の文章読解で学んだ「構造を読み解く力」

今から振り返ると、採用担当者や上司は、私の「構造を整理してインプットする力」「構造を組み立ててアウトプットする力」を評価していたのだとわかります。

たしかに、インタビューメモやレポートも「構造」を意識して整理していました。

● データから読み取れる、プロジェクトにとって最も大切なポイントは何か?
● 読む人は誰か? 何を知りたくて読むのか?
● どんな構成やストーリーにすれば、読みやすいか?

そして、これらの構造的なインプット・アウトプットを私はそれと意識せず行っていました。

実は私がこれを学んだのは、小学校の国語の読解の授業なのです。私が3年生のとき、小学校のクラスで行われたその授業は、文章を読んで、その構造から筆者の言いたいことを理解させ、さらにそれを解釈、再構成させるものでした。そして自分が文章を書くときには、その逆で、先に構造を考えてから文章化するのです。

自分をこんなにも助けてくれている、あの授業はなんだったのか? それが知りたくて、社会人になってから恩師を訪ね、それが「構造学習」というものであったことを知りました。

私はこの学習を通じて培った力に今も多大に助けられていると感じています。コンサルティングの仕事だけでなく、大学に入学できたのも、MBA(経営学修士)を取得できたのも、このスキルのおかげと言えると思うのです。

「国語の読解力が他科目の基本」というのは、受験でよく言われています。出題者の意図を理解することが、試験においては結果を出す早道となるからです。一定の長さの文章が題材として与えられる問題は、国語だけではなく、理科や社会でもありますから、なおさらです。

海外の経営大学院の受験ではGMAT(Graduate Management Admission Test)という試験が課され、言語分野では文章の論理的な整合性を問われます。使われる言語は英語ですが、論理構造を読み解く力が直接的に問われています。

面接や交渉事では、その場で相手の質問や、話していることの意図を汲み取ることが必要です。自分の主張やアピールも大切ですが、聞かれたことに答える──これができる人が、意外に少ないのです。

仕事のための資料作成やプレゼンテーションに、このスキルが大いに生きたことは前述のとおりです。

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