日本育ちでも英語を習得、4つの「意外な共通点」 小さな事を積み重ねて日々を英語浸けにしよう

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といったコメントにあるように、英語を話すことをためらわないマインドセットを比較的早い段階から身につけておくことは、スピーキング以外の技能を伸ばすうえでも有効といえそうです。

そして、もうひとつの実践法は「独り言」です。通学時や家の近所を歩きながら、あるいは寝る前など、身近な出来事に英語で意見や感想を言ったり、目についたものを逐一英語に訳したり、目の前で何が起きているかを英語で実況中継したり、英語でぶつぶつ自分に向かって話すというものです。

果たして独り言に効果があるのか疑問に感じるところですが、第2言語習得の専門家である群馬県立女子大学の神谷信廣(かみやのぶひろ)教授によれば、「聞き手がいない状態で英語を話してもスピーキング力が上がることは、日本人の英語学習者を対象に行われた研究でも示されている」とのことです(『英語学習の科学』)。

また、独り言の延長として、TED TalksやYouTubeなどで自分の好きなテーマや推しの俳優などが話している動画を英語字幕で見ながら繰り返し一緒に音読したり、字幕を消してシャドーイング(音声のすぐ後を追いかけるように復唱する)したりすることで、動画に出てきた文法や表現が自分でもスラスラと使えるようになるという意見も多く見受けられました。

神谷教授もスピーキング練習には英語字幕のついた動画教材を勧めており、英語の短い表現のまとまりである「チャンク」を増やすことがスキルアップのコツだ、としています。話をたくさん聞いたり読んだりする中で、よく出てくるフレーズをひとつのかたまりのようにして覚えていくと、文をゼロから作るより脳に負荷がかからなくて済むため、流暢に話せるようになっていくのだそうです。

②日常を英語に浸す

英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶ。日常を母語でない第2言語に浸す教育をイマージョン教育と呼び、日本でも国語以外の科目を英語で教える英語イマージョン教育が注目されています。

今回の取材でも、全員が意識的に「毎日なるべく自分を英語に浸すことを心がけていた」と話していました。

「スマホやSNS、ウェブ検索の言語設定を日本語から英語に変える」「登下校中にポッドキャストで英語の番組を聞く。わからない単語やフレーズがたくさんあっても挫けずに聞き続ける」「自分の興味あるテーマでTED Talksや英語の動画をよく見るようにする」「NHKラジオを聞く」「英語で日記を書く」「好きな音楽の歌詞を聴きながら書きとる」といったように、机に向かう勉強以外でもなるべく英語に触れる習慣を身につけていたようです。

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