「少子化は最悪だ」という日本人は間違っている 日本の「人口問題の本質」とは一体何なのか

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4月9日に「3歳牝馬クラシック」の1冠目である桜花賞が行われた。圧倒的な前評判の集めていたのはドゥラメンテ産駒のリバティアイランドだったが、前評判を上回る、まさに度肝を抜く一気の追い込みで勝利した。

16日は皐月賞(G1、中山競馬場第11レース、芝2000メートル)だ。今年の3歳牡馬は牝馬と違って、レベルが極端に低く、リバティアイランドのような圧倒的な存在もなければ、その他の馬もどんぐりで、「近年まれにみる低レベルでは?」とささやかれている。

メディアの勝手な憶測かもしれないが、そのため、リバティアイランドは牝馬の長距離戦オークス(2400メートル)ではなく、5月28日の日本ダービー(東京優駿、芝2400メートル、3歳牝馬も出走可能)に行くのではないかと言われている。

確かに、今回の皐月賞では今のところ圧倒的な本命馬はいない。だが、皐月賞前の時点ではハッキリしていなかっただけのことで、ダービーや菊花賞を終わってみると、そんな話は今年の年末にはすっかり忘れて、有馬記念(G1)での最強古馬のイクイノックスとの対決をハヤしているかもしれない。

また、牝馬についても「リバティアイランドが圧倒的」というのは、「このほかにはまったく大物がいない」という見方もできるわけで、何とも言えない。

とにかく「たまたま抜けた1頭がいないだけ」というのが、今年の3歳牡馬が貧弱に見える理由に対する第1の仮説であるが、対立仮説はやはりディープインパクトの逝去ということだろう。

ディープインパクト産駒は勝ち上がり率も驚異的、「クズ馬」を出さないのみならず超大物も出す、という歴史に残る種牡馬の典型である。しかも、芝もダートも、仕上がりが早い馬も、成長力のある馬も、スプリンターもステイヤーも出す、ということで、大物ぶりも父のサンデーサイレンスに通じるものがある。

今年はディープ産駒の最後の年になり、ディープ産駒は6頭しかいない。大物がいないのは単にディープ産駒が少ないだけ、というのが第2の仮説だ。

では、「ディープの後継」でディープクラスの種牡馬がいるかというと、イクイノックスを出したキタサンブラックは、ディープ産駒ではないが(ディープの全兄ブラックタイド産駒)、一発超大物を出すタイプだ。

また、キタサンブラック並みに(あるいはそれ以上に)超大物を出すのがドゥラメンテだ。大変残念なことに、ドゥラメンテはアッという間に早逝してしまったが、自身も超大物なら産駒も大物を数少ない産駒から輩出しており、まさにリバティアイランドがその代表格だ。

皐月賞は注目4頭に絞る

で、皐月賞はドゥラメンテ産駒のタッチウッド(8枠16番)。大物であることは間違いないが、まだ幼く、かつ難しい馬なので、器用さが求められる皐月賞には向かないように見えるが、開き直って、逃げまくってしまえば、わかりやすいレースになるのではないか。本命。

キタサンブラック産駒のソールオリエンス(1枠1番)も粗削りだが、大物感たっぷり。一方、安定性なら、地味なハービンジャーの子だが、ファントムシーフ(4枠7番)。名前と裏腹に優等生だ。

さらに、地味だったのが今になって種牡馬成績を上げてきたルーラーシップの産駒、フリームファクシ(3枠5番)。これら4頭のいずれかが皐月賞を圧勝すれば、「3歳牡馬レベル低い説」は翌週には誰も覚えていないだろう。好レースを。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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