「店員の名札」が危ない!“犯罪者"が群がる現実 コンビニ大手3社の対応、そして学校の名札は?

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「先日、役所に用があって行きましたが、所員は名札をつけていませんでした。あと、最近では警察官も自分の名前を口頭では言いますが、警察手帳を見せたり、名刺を渡すことをしなくなりましたね。

こちらから聞いて、名乗るかどうかは相手側の判断になっているのだと思います。必要に応じて担当者の名前を伝えるというスタンスになっているのが、時流なのかもしれません。今、“モンスタークレーマー”が多いですから、自身の名前が悪用されることを防止しているのだと思います」

また“名札レス”の動きは、教育現場にも広がっている。

ランドセルに名前や住所を書き込むことが当たり前だった時代は遠い昔に(写真:週刊女性PRIME編集部)

「学校に通う子どもたちから、名札がなくなりましたね。小学校に通う子どもたちを見ても学校で使う道具、ランドセルにも名前を書いていない人のほうが多いと感じます」(高橋弁護士)

実は、名札着用の見直しのきっかけとなった事件がある。2014年に埼玉県で、当時13歳の少女が傘に書かれていた名前を読み取られ、面識のない男に誘拐され、約2年間監禁されたのだ。

名前も個人情報だと認知することが大切

この事件をきっかけに、さいたま市教育委員会は各学校に名札や持ち物に名前を書かないように指導するように通知をした。それでも「お菓子をあげる」「遊びに行こう」などと声をかけられる事案が、'20年には年間3000件近く埼玉県では報告されているという。

名札に名前や住所を書き込むことが当たり前だった時代は遠い昔に(写真:週刊女性PRIME編集部)

「誰もが見られるSNSでも本名を名乗る必要がないですし、アイコンの写真も自分の写真以外を使えます。名札が必要なのは、ビジネスシーンや会議といった限られた場合だけではないでしょうか。

名前を聞かなくてはならない場面であれば、“名前を教えていただけますか”と相手に承諾をとった上で教えてもらえばいい話です。不特定多数の人と接する接客業の従業員が、本名を晒す必要はないでしょう」(高橋弁護士)

誰もがネットにつながることで、情報を簡単に得ることができる現在。以前なら“たかが名前”で済んでいたのかもしれないが、自分の身を守るため、名前の扱いにまで気をつけなくてはいけない世の中に。コミュニケーションの形も、時代によって変わっていく──。

(取材・文/蒔田 稔)

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