イオン「新型ネットスーパー」で目指す未踏の高み 物流まで自前投資、収益化には高いハードル

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誉田CFCを中核に小規模の配送拠点を配置する「ハブ&スポーク」体制で、まずは首都圏の700万世帯をカバーする。トラックに荷物を積む順番や配送ルートもAIが自動算出することで、1時間ごとの配送が実現できる仕組みだ。

自前の物流網による意外な効果が、「早朝の時間指定」だという。イオンネクスト副社長で、物流を担うイオンネクストデリバリー社長を兼務する野澤知広氏は「残業などで予定が変わりやすい夜よりも、朝のほうが時間が読める。以前から朝の配送に対する潜在的ニーズは高かった」と話す。

一般的に店舗出荷型では、営業時間に左右されるため、早くても10時以降の配送しか実現できなかった。一方で、CFCからであればロボットが24時間集荷作業を行うため、早朝から配送が可能になる。

CFCで稼動する集荷ロボット(右下)はイオンと提携するイギリスのオカドが提供する(写真:梅谷秀司)

従来とは一線を画するネットスーパー。最大の課題は、事業の収益化をいかに図るかだろう。そもそも「ネットスーパーは儲からない」とも言われる中で、今回イオンは物流インフラの整備まで自ら踏み込む。イオン側は投資規模についていっさい公表していないが、今後その投資が重荷とならないのか。

収益化のポイントは「高い継続率」

事業の収益化に向けてイオンが挙げるポイントは4つだ。

まず最初に挙げるポイントが顧客の継続率。AIによる新しい買い物体験や高い物流品質によって、「一般のネット販売に比べて倍以上の継続率を狙う」(イオンネクストの太田正道副社長)。具体的には、月に3~4回の利用を想定しているようだ。

2つめはバスケットのボリューム。つまり客単価だ。既存のネットスーパーの客単価は5000円以上と言われるが、GBではまとめ買いによって、8000円程度の客単価を想定しているようだ。そして3つめとして、ネットスーパーというメディアを活用した、メーカーとの新しい広告展開など、商品販売以外の収益源の開拓を進める。

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