コロナ禍の3年で日本人は幸福になった納得理由 幸福度ランキングはコロナを機に反転上昇へ

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2012~2018年まで、日本は「1人当たりGDP」がほぼ横ばいで、物価やその他の生活環境もほぼ変わりませんでした。その間、諸外国は順調に経済成長し、社会が発展したので、日本は順位をどんどん下げていきました。

2019年から「日本人は貧乏になった」「今後、老後破産が続出する」と盛んに喧伝されるようになりました。そして、2020年からコロナ禍に見舞われました。こうして平穏な生活を脅かされると、幸福に無頓着だった日本人もさすがに幸福について考えるようになります。

ただ、貧乏になっても、コロナ禍で不自由を強いられても、多くの日本人は平穏無事な生活を送っています。逆に、困難な状況でも平穏無事な生活を維持できていることがありがたく感じられ、幸福感が増しているのです。

ところで、ブラジルでIT企業を経営している友人にここまでの筆者の分析を紹介したところ、思い切り鼻で笑われました。

「2021年にコロナのせいで史上初めてカーニバルが中止になって、猛烈にショックだったよ。家族が死んだのと同じくらい不幸だった。タケシの話だと、日本人はとにかく息を吸っていれば幸せってことかい? 馬鹿馬鹿しくて話にならん。人生、もっと明るく楽しくいこうぜ!」

友人に嘲笑されて、筆者はまったく腹が立ちませんでした。「別にカーニバルなんかなくても、日本人は十分に幸せだから……」とふと思った筆者は、非常に日本的な日本人なのかもしれません。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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