「10歳上の彼女」にベタ惚れした46歳夫の"超進化" 恋愛経験のない「自由人」が激変した経緯

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「大宮さん、衝撃の告白をしていいですか? 私は生まれつき体毛がないんです。この髪の毛はウィッグです。ありがたいことに両親は私を素のままで育ててくれました。だから、恥ずかしいという気持ちはありません。でも、小さい頃、男の子たちは残酷だったりしますよね。ずいぶんいじめられたので、男性に対してずっと苦手意識がありました」

話すときにこちらの名前を呼んでくれるほど気遣いのある美恵さん。両親が愛してくれた姿のままでありたいと思って生きてきたが、介護施設で働くようになってからはまゆ毛を描いてウィッグをつけるようになった。それも気遣いの結果だ。

「毛がないだけで私は健康そのものですが、利用者さんによっては『この人は病気なの?』と心配になるようです。男性スタッフと間違えられると、入浴介助のときなどに嫌な気持ちにさせてしまいかねません」

ダラッとした格好で休憩室にいた誠也さん

車の運転も好きな美恵さんは、介護タクシーに興味を持ったことをきっかけに地元のタクシー会社の門をたたく。2018年のことだ。やはり接客業。客を驚かせてはいけない。ウィッグはつけたままだった。

「出勤初日に営業所の休憩室にいたのが夫です。ワイシャツを出したダラッとした格好でくつろいでいました。若いのか年なのかわからない人だな、という第一印象です」

すでに50歳を超えていた美恵さん。女性だということもあり、会社は日勤を勧めてくれた。タクシー運転手になるからには夜勤だと覚悟していた美恵さんは拍子抜けしつつも承諾。それに「待った」をかけたのが誠也さんだった。

地方都市においては、日中は自宅から病院などに通う高齢者のタクシー利用が多い。新米運転手の場合、それでは決まった道しか覚えられない。夜勤は暗くて危険だし、酔客を知らない場所まで送って行くことも多々あるが、それだけ運転手としての技量が向上する。何よりも地元の道を隅々まで覚えることになる。もちろん、深夜料金なので稼ぎもいい。

「年をとったら夜勤から日勤に変わってもいいけれど逆は無理、やる気があるなら最初から夜勤をやったほうがいいよと、夫が勧めてくれたんです。自分の班に入れてくれて、つねに的確なアドバイスをしてくれて、私をいつもかばってくれました」

次ページ「他人を安心させる何かがある」情熱的に語る誠也さん
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