圧倒的に多い「自宅転倒」おひとりさまの重大危険 高齢期の前に進めておきたい片づけのポイント

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ポイント③ 完璧を目指さない

おひとりさまの片づけを始めるにあたり、ぜひ知っておいて欲しいことがあります。この時期の片づけは、若い頃の片づけとは大きく違うことです。それは、すべての場所を整理して、完璧な片づけをする必要はなく、今、「使っている場所」と「使いたい場所」を優先して片づければいいのです。

すぐに始めなければと焦りがちですが、まずは優先順位を決めて、片づけることがポイントです。おひとりさまの片づけに、新しい収納のノウハウなどは不要です。これまで長い間こなしてきたあなた流のやり方でいいのです。「きれい」かどうかではなく、「あなたが使いやすい」かどうかで整理すればいいのです。

モノと向き合うには、時間がかかり、途中で面倒になるかもしれません。
だからこそ大事なことは、すべての部屋を完璧に片づけることではなく、自分のために自分の好きな場所を片づけることだと知って欲しいのです。
面倒だと思う方はできる場所からでかまいません。この段階でいやになり、片づけを投げ出してしまうことのほうが問題です。おひとりさまの片づけは、使っているモノをざっくり残すだけ、収納するだけと大雑把でかまいません。

使っていないモノは処分や移動をして物量を減らします。たとえば、カトラリー(食卓用のナイフ・フォーク・スプーンなど)は種類やサイズなどをきっちり分けて収納しなくても、大まかに分けられていればOK。衣類もあなたのたたみ方で引き出しに収納します。

それでは片づかない……と思うかもしれませんが、実は、使っているモノはそれほど多くはありません。量をしっかり減らせば、収納術など気にしなくても、何がどこにあるかわかるように収納できます。片づけをスムーズに進め、途中で投げ出さないためには、「完璧を目指さないこと」が大切です。

ポイント④ 「いる」「いらない」をわかりやすく分ける

おひとりさまの片づけで意識して欲しいのは、次の3つです。

(1)転んでケガをしないよう、床に置いてあるモノを取り除く

(2)必要なモノがどこにあるかわかり、すぐに取り出せるようにする

(3)思い出の品を整理して、すぐに見られるようにする

(1)の「転んでケガをしないよう、床に置いてあるモノを取り除く」ですが、敷居、絨毯など段差でつまずく、玄関のマットで滑る、浴室で滑る、階段・脚立からの転落、布団やコードに足がからんで転倒するなど、実は、自宅の中には危険がたくさんあります。

それだけではありません。日常生活をする上で住まいの中を動く線をつないだものを生活動線と言いますが、特に頻繁に移動するリビングやキッチン、トイレなどの生活動線上にモノが置いてあると、転倒の可能性が高くなります

おひとりさまの片づけは床面をできるだけ広くすることで、動線をスムーズにすることが重要です。使用しているモノや大事なモノ、これら「いる」モノは動線上から移動させます。

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