「ノースフェイス」企業がオンライン接客重視の訳 絶好調「ゴールドウイン」に聞いたEC成功の秘訣

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ブランドごとの売り上げ格差を平準化するため、ブランド偏差値を算出。サイトの閲覧数なども考慮しながら納得感のある採点方法にし、評価の公平性につなげている。

表彰式も反響が大きかった。「上位店舗がどのような施策や運用をしているのか知りたい!」と店舗やスタッフから声が上がったため、エリア長を軸に月次のエリア会議やメール配信などで好事例を共有する施策も始まった。「次は1位を狙います」「表彰制度があることでモチベーションが上がっています」といったスタッフの声が本部に多く届くなど、取り組み意欲を刺激する好機になった。

世界遺産に位置する店舗からも発信

ザ・ノース・フェイスなどゴールドウインの商品は、ファッションとしても着用できるが、ブランドのコアバリューはスポーツにある。

「適切な着用方法や正しいレイヤリング(商品や素材の重ね方)をしなければ冬山で事故になる恐れもあるし、けが防止やパフォーマンス向上といった機能をうまく発揮させることができない。スポーツアパレルメーカーとして正しい着用方法や使用方法を伝えることはとても大切なこと。スタッフスタートを活用して情報発信できる利点は大きく、かつ重要なツールになっている」と梅田氏。

ザ・ノース・フェイスは長野県の白馬や北海道のニセコ、知床、沖縄県の石垣島など、国立公園や世界自然遺産内に「フィールドショップ」と呼ぶ店舗を構えている。大自然のど真ん中で、安全性はもちろんのこと、文化的な側面からもアウトドアアクティビティーを支える重要な店舗だ。店舗の一歩外に出ると大雪原や大海原が広がっていて、例えば知床では白樺の原生林の中で時折ヒグマが出没するような世界でもある。

コーディネート投稿
「ザ・ノース・フェイス」の知床の店舗スタッフが投稿したコーディネート。知床の大自然が生かされた写真になっている(写真:『リアル店舗を救うのは誰か』より)

そんなエクストリームな環境の中でスタッフが撮影したコーディネート投稿は、格別なパワーを持っている。

こうした店舗でもスタッフスタートの活用を進めることで、顧客は気軽に別世界のような投稿が見られる。そこを起点に欲しいと思ったアイテムをECで即座に購入したり、フィールドショップから在庫を取り寄せたりすることもでき、貴重な購買体験を生み出しているという。

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