日本製鉄が「筋肉質」になって高めた実力の現在地 森副社長「これまでの取り組みに自信を深めている」

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――ひも付き価格の値上げが本体国内製鉄事業の収益改善の大きな要因ですが、度重なる値上げによって顧客企業からは不満の声も出ています。巻き返しはありませんか。

交渉スタンスを変えることはない。

原料炭の使用をなくすことはできない

――2022年度第3四半期の平均鋼材価格は1トン当たり15万5900円でしたが、第4四半期に14万6000円と下がると見ています。価格交渉での力関係に変化があったのでしょうか。

想定為替レートを円高としたため、輸出価格が落ちることが大きい。一方、為替要因で輸入原料が安くなる。国内のひも付き価格は、参照する原料価格が下がると販売価格も下げるのがフェアだ。

――製鉄プロセスで原料炭を使う以上、二酸化炭素(CO2)の排出は避けられません。カーボンニュートラル実現を掲げながら、Elk社の出資で原料炭の権益拡大に動くのはなぜでしょうか。

(天然ガスなどで鉄鉱石を還元した)還元鉄の利用拡大などで、今後の原料炭の使用量は減っていく。減ってはいくが、なくすことはできない。カーボンニュートラルの実現には高品位の原料炭が必要だと思っている。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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