いまなぜ、コーチをつける社長が
増えているのか?
世界の優良企業のCEOが
コーチをつけている
「今、世界中で、社長にコーチをつける企業が増えています。大きな理由として、ビジネス環境が年々複雑になっていることが挙げられます。かつては、一人の経営者が、自身の経験と勘で意志決定を行っていればよかったのですが、現在は処理すべき情報の量が膨大になっており、それが難しくなっています」と話すのは、コーチ・エィ代表取締役の伊藤守氏だ。
同社は100人以上のプロとして認定されたコーチが社員として在籍するコーチング・ファームであり、経営者や役員など組織のリーダーを対象とする「エグゼクティブ・コーチング」のサービス提供でも草分け的存在だ。
欧米の企業経営者は自らにコーチをつけるだけでなく、それを公言している例が少なくない。その中には世界有数の大手IT企業や、急成長中のベンチャー企業のCEOなども含まれる。
「なぜこれらのカリスマ経営者にコーチが必要なのかと思う人もいるでしょう。彼らが一様に答えるのは、複数の視点を持つことの大切さです」
そう説明する伊藤氏自身も18年以上の間、コーチをつけ、電話やメールでコーチとの対話の時間を取っているという。
「私は『会社は常にアンダー・コンストラクション(工事中)』だと考えています。一つの課題を解決したからといって、課題がなくなるわけではありません。環境もどんどん変化します。さまざまな問題に対応するためには、経営者が学習し続けることが不可欠になります。経営者とは一番知っている人ではなく、『ラーニング・アジリティ(学習の俊敏性)』、つまり、より早く学ぶ能力を持つ人が望ましいのです」