「男がおごるべき論争」日独でこれだけ違う価値観 ドイツの女性は「おごられるのは気が重い」

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もちろん気心が知れた仲の場合「今回は僕が払うね」「今回は私が払うね」と2人分を払うこともありますが、男性のみがずっとおごり続けるというのは、男性側がかなり保守的であるか、または富裕層でもない限りあまり見られないスタイルです。

そんなドイツではデートのために女性が2時間かけて化粧をすることはまずありません。デート前に美容室に行くというのもあまり聞いたことがありません。もちろん普段よりも気合は入りますが、日本のようにデートのたびに準備の段階で札束が飛んでいくような状況になることはあまり一般的ではありません。

ドイツの男性はよくいえば「倹約家」

日本と比べるとドイツの人は財布のひもが固い人が多く、よくいえば「素朴で倹約家」、悪い言い方をすれば「ケチ」な傾向があります。ですので、そういった観点からも男性はデートの際に気軽におごらないわけです。

近年のドイツでは「専業主婦になりたい」という女性があまりいないのですが、それは母親や祖母から「専業主婦は悲惨」だということを散々聞いてきたからです。前述通り昔のドイツでは専業主婦が珍しくはありませんでしたが、基本的に夫が家計を管理していたため、妻にはわずかな金額しか行き渡らず、ワンピース1枚さえ自由に買うことができないというような女性も多かったのです。

その頃の女性の口癖は「自分のお金が稼ぎたい」(Ich möchte mein eigenes Geld verdienen.)だったといいます。そして、夫やパートナーのお金で生活することにどこか罪悪感が付きまとい、堂々とお金を使うことに気が引けるから自分のお金を持つことが大事だと考えるドイツの女性は多いのです。

ドイツでは食事を男性からおごってもらうことについても「何だか気が引ける」「気が重い」と感じる女性が少なくありません。もっともこれは一部の男性にも原因があります。金銭にシビアな男性が女性にディナーをおごる場合、そこには下心が見え隠れするからです。「夜景がきれいで雰囲気もロマンチックなレストランでディナーをおごったから同じ夜のうちにあわよくば……」なんて考えている可能性があるわけです。そういった事情もありドイツの女性はおごられることを警戒する傾向にあります。

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