「ミス・ユニバース」の"審査基準"が激変したワケ それでも“水着審査"は続ける理由

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「今回はとてもダイバーシティに富んだ大会になったと思います。2018年にスペイン代表になった方もトランスジェンダー女性でした。応募要項にもあるのですが、『18歳〜27歳の、医学的に女性である』ということが条件で、現在戸籍やパスポートに“女性”と記載されていれば、生まれてきたときの性別が女性でなくても出場資格があります」

また、前出のように日本大会も世界大会も、審査員はすべて女性で、いわゆる「男性目線」を排除していることも大きな特徴のひとつ。男性的な思考があったとも評されるトランプ氏の時代を思えば、隔世の感がある。

「異性からの目線では、どうしても恋愛感情や『好み』が審査に影響します。また、外見は『若いから美しくて当たり前』という面もあるので、内面が魅力的で、リーダーとしてついていけるかというスタンスで審査員は見ています。そこは他のコンテストと大きく違う面だと思います」

審査基準は内面重視「魅力的」な女性とは?

そこで気になるのが「審査基準」。ミス・ユニバースにふさわしい女性像とは?

「リーダーシップがあり、魅力的な女性であることです。応募できるのは18歳以上28歳未満と年齢差があるのですが、若さを基準とした外見の美のみが基準になると28歳は18歳に勝つことは難しいでしょう。しかし、年齢や経験を重ねたからこそ備えられる魅力というものもあります。見た目ではなく、総合的な魅力を考えて審査するのです」

では“魅力的”であることとは、どういうことなのだろうか?

「例えば来週、大切な人たちを集めてバーベキューパーティーをするとします。そのときに誰を呼びたいかを考えると、お高くとまった人や自分勝手な人ではなく、一緒にいて楽しい、自分や周囲の人を幸せにしてくれるような人に声をかけたいですよね。そういう人が『魅力的な人』だと考えます」 

ドレスでの審査、水着審査、面接など、さまざまな審査があるが、どこを見ているのだろうか?

「ドレス審査に関してですが、ミス・ユニバースは仕事として公式の夕食会などに参加する機会が増えるため、ゴージャスなドレスを着た状態でどれだけ優雅に自信を持ってパフォーマンスできるかを見ます」

ミス・ユニバースとは別のミスコンテスト「ミス・アメリカ」では、2018年に水着審査が廃止された。だがミス・ユニバースでは今でも重要な審査基準だ。

「水着審査では、『心身の健康美』を見ます。セクシーであるとか、水着が似合う・似合わないという基準ではありません。太っているとかやせているといった自分の肉体にコンプレックスを持つことなく、どれだけ自分の身体に自信を持って健康美を表現しているかを審査しています」

自分らしく自信を持って振る舞えることが、ミス・ユニバースの必須条件なのだ。

次ページトレーニングも審査、世界が認める女性に 
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