差別発言「オフレコ破り」記しておきたい重要論点 政府関係者も企業幹部も一般人も心得ておきたい事

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オフレコ
誰でもいつでも気軽に情報を発信できる時代だからこそ「一般人」も無関係ではありません(写真:Graphs/PIXTA)

「自分は政府関係者でも企業幹部でもない『普通の人』だから、今回のオフレコ破り問題は関係ない」と思われている方々もいらっしゃると思います。しかし、必ずしもそうではありません。背景にはインターネットの普及があります。今はツイッターやインスタグラム、フェイスブック、ネットの掲示板など、誰もがいつでも気軽に情報を発信できるようになりました。いわば「1億総メディア時代」です。

オフレコ、匿名の甘い認識に落とし穴

一般の人でも、飲み会などで、つい差別的な発言をしたことが誰かを憤慨させ、何らかの形で情報を書き込まれてしまうリスクもあります。特定の人を快く思っていない人が失言を狙ってひそかに録音をしているような場面もあるかもしれません。

逆にヤフーニュースなどのコメント欄に匿名で差別的な書き込みをしたり、誹謗中傷をしたりすると、名誉棄損罪や侮辱罪の対象になりえます。ネットで差別発言や誹謗中傷をしたことがわかり、名前や会社名などが暴露されれば、その人の社会的な信用は失墜してしまいます。出世の妨げになるどころか、退職せざるをえなくなることもありえます。

「オフレコだから大丈夫」「匿名のコメントだから問題ない」という甘い認識は、今の時代には通用しなくなりつつあります。ネット時代は1億総メディア時代。コンプライアンス(法令順守)の仕組みもどんどん強化されています。何とも窮屈すぎる世の中になっているという見方もできるのですが、現実的に自らの問題発言や行動への監視がより厳しくなっていることを意識し、すべての人が注意する必要性が高まっているのです。

日高 広太郎 広報コンサルタント、ジャーナリスト

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ひだか こうたろう / Kotaro Hidaka

1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。その後、小売店など企業担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年に東証一部上場のBtoB企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。クライアント企業のメディア掲載数を急増させている。

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