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地方の「隠れ債務」が顕在化、今後の懸念材料に 地方政府の別働隊「融資平台」の債務が急膨張

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地方政府が出資する「融資平台」の債務が膨張している。今後、景気の足を引っ張る可能性が高い。

貿易港に並ぶコンテナや船、運搬車など
鉄道、港湾、道路などのインフラ投資に当たって、地方政府は融資平台を活用し資金を調達してきた(写真:AP/アフロ)

中国では景気低迷が長引き、地方財政が厳しくなる中で、地方の「隠れ債務」のリスクが顕在化し始めている。

1月初め、貴州省の「遵義道橋建設投資集団」の巨額の債務再編(支払期限の延長や元本金額の削減など)が明らかになった。同社は遵義市政府が出資する投資会社(融資平台)で、日本でいえば第三セクターのような存在だ。156億元(約3000億円)の借り入れについて、元本を維持したうえで、返済を20年間繰り延べ、当初10年間は利息支払いのみとの条件で銀行と合意した。

膨れ上がる「隠れ債務」

中国では2015年まで、地方政府が金融機関から借り入れをすることや債券を発行することが原則として禁じられていた。しかし地方のインフラ開発ニーズは高く、公式な財源だけではその費用を到底賄えなかった。このため地方政府は自らが出資・設立した融資平台を通じて借り入れや債券発行を行い、資金を調達してきた。金融機関や投資家は、地方政府の「暗黙の保証」があると見なし、融資平台に積極的に投融資を行った。こうして地方政府の「隠れ債務」は膨れ上がっていった。

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