政局装う猿芝居?「防衛増税」時期先送りの不可解 高市氏らが反発したが、結局1週間あまりで収束

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財務省の画策ともみえるこの案が表沙汰になると、野党では宮城を選挙区とする安住淳・立憲民主党国対委員長がすぐさま、「被災地に対する背信行為」と猛批判。馬場伸幸・日本維新の会代表も「あまりにもひどい発想」と酷評した。

また、岩手が選挙区の立憲民主・小沢一郎氏も自身のツイッターに「選挙の時は増税の『ぞ』の字も無く、終わってから大増税。これだけ負担を強いるのに国民の信を問う気もさらさらない」と投稿、口を極めて岸田首相や自民党を非難した。

自民党内では「安倍派」の3氏が批判

一方、自民党内では、萩生田光一政調会長が党の政策決定責任者の立場をかなぐり捨てる形で「(増税方針を)統一地方選前に出すのは大きなマイナス」「当面、国債発行も選択肢だ」などと声高に異論反論を展開。

これに呼応するように高市早苗経済安全保障相も自身のツイッターに「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」と書き込み、西村康稔経済産業相も「このタイミングでの増税は慎重にあるべきだ」と岸田首相批判を競い合った。

「まさに党と閣内の不一致」(岸田派幹部)を岸田首相に突き付けた3氏は、いずれも故安倍晋三元首相の「腹心」を自任する人物。しかも、高市氏はその後の記者会見で「罷免されるということであれば、仕方ないという思い」との挑発的発言で党内の安倍派議員の造反を誘い、「防衛増税政局の仕掛人」(同)ともなった。

ただ、首相最側近の宮沢氏が15日に「防衛増税の無期限延期」とも解釈できる妥協案を示すと状況は一変。萩生田、高市、西村の3氏はそろって態度を軟化させ、論議の舞台となった税調会合は約2時間で宮沢会長に対応を一任し、「アッという間に騒ぎは沈静化」(同)した。

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