親が子のために「代理婚活」15年で参加者激増の訳 嫁姑問題に悩まされることが少なくなる…?

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子世代の若者は実際にどう考えているのか。子に代わって親が婚活することに抵抗感はないのか。「いい年して、人生の一大事を自分で決められないのか」「自立していない」と思われるのではないか、と記者(男、39歳)なら考えてしまいそうだ。都内の男子大学生(21)は「そこまで気にならない」と話す。

「母親とは仲がいいので、彼女に何をプレゼントしたらいいかの相談とか、何でも話せます。さすがに(代理婚活を)勝手にやられるのは嫌だけど、情報を逐一共有できているなら全然ありです」

これが大多数の意見とまでは言えないが、こうした考えを持つ若者は確実にいそうだ。 

婚活サービスを提供するタメニー(東京都)が20~49歳の未婚の男女に向けて実施したアンケート調査で、「恋愛や結婚について親に相談する」と回答した人は約14%。年代別で見ると、20代は40代の2倍以上の割合で相談しているという結果が出た。若い人ほど親子間で話し合っているのだ。同社の平田恵さんはこう話す。

「ひと昔前は結婚するのが当たり前で、『結婚=幸せ』という価値観がありましたが、今はそうではなく、結婚しなくてもいい時代。婚活を始めるボリューム層であるアラサーの親世代は、その価値観の変化を理解しようとしていて、無理強いはしないという関係性に変わってきているように感じます」

同社は代理婚活サービスは扱っていないものの、親からの問い合わせは多い。それも親の独断ではないという。

「普段から子どもと気軽に結婚の話はするけど、なかなか重い腰を上げない。それならお母さんちょっと聞いてきてよ、と子どもに言われて相談に来るというケースが最近少しずつ増えています。親の介入の仕方が昔とは変わってきたんです」(平田さん)

対応間違えれば親子関係にヒビ

それでも、価値観の変化についていけない“昔気質”の親もいる。子よりも先に前のめりになって代理婚活を始めてしまっては、トラブルになりかねない。宮越さんは指摘する。

「そうした親は子のためというより、自己満足のために子の婚活をしているケースがほとんどではないでしょうか。『孫が見たい』という願望や、世間体を気にしたり、結婚相手の条件を押し付けたり。年配になるほど、そうした傾向があります。親のフィルターを通して見た結婚と子の生き方や価値観を通して見た結婚は違う。親子が折り合わないケースもあるので注意してほしいです」

都内に住む独身女性(36)は、こうしたケースに悩まされているという。父(74)と母(70)が住む静岡の実家を離れ一人暮らし。2人いるきょうだいはすでに結婚し、子どももいる。自身に結婚願望はあるが、今、交際相手はいない。

「あるあるだと思いますが、実家に帰るたびに母から『いい人はいないの?』とか『友達の○○ちゃんのお子さん、○歳になったみたい』って。その話題になると自室に戻るのが定番。昨年暮れに代理お見合いの資料を見つけたときは絶句してしまいました」

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