中国の不動産市場「先行き悲観」が変わらない訳 主要都市の開発用地払い下げ「入札不調」続く

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不動産開発用地の払い下げ入札に対するデベロッパーの反応は鈍い(写真はイメージ)

中国の地方政府が払い下げる不動産開発用地の入札不調が続いている。市場調査会社の中指研究院のデータによれば、「集中方式」の払い下げが実施されている22カ所の主要都市では、2022年に合計1万2875ヘクタールの住宅用地の供給が計画されている。だが、それに対する11月下旬時点の進捗率は55%にとどまるという。

これらの22都市は、北京市、上海市、広東省広州市、広東省深圳市の4大都市に、江蘇省南京市、江蘇省蘇州市、浙江省杭州市、福建省厦門市、福建省福州市、重慶市、四川省成都市、湖北省武漢市、河南省鄭州市、山東省青島市、山東省済南市、安徽省合肥市、湖南省長沙市、遼寧省瀋陽市、浙江省寧波市、吉林省長春、天津市、江蘇省無錫市という18の地方中核都市を加えたものだ。

22都市では2021年1月から、開発用地の払い下げの公示および買い手の募集活動を集中的に実施する方式が試験導入されている。これらの都市では年間の公示回数が3回以下に抑えられ、公示の間隔や毎回の供給面積についても偏りを減らすことが求められる。

政府傘下の国有企業が買い支え

だが不動産不況が長期化するなか、集中方式は十分な成果を上げているとは言いがたい。中指研究院のデータによれば、11月下旬時点で2022年の払い下げ計画を達成できそうなのは合肥市、無錫市、上海市、厦門市の4都市だけだ。それ以外の18都市は、計画達成は困難とみられている。

それだけではない。払い下げられた土地の買い手を見ると、(売り手である地方政府の傘下にある)国有の都市開発投資会社の多さが目につく。2022年10月に実施された集中払い下げでは、蘇州市、済南市、南京市などで(地元の)都市開発投資会社による取得が全体の8割を超えるなど、政府主導の買い支えが目立った。

2022年9月以降、中国人民銀行(中央銀行)や中国銀行保険監督管理委員会など中央政府の複数の機関が、不動産業界の資金調達難を緩和するための救済策を打ち出している。

本記事は「財新」の提供記事です

だが、民営の不動産デベロッパーが開発用地の買い付けを増やす動きは、依然として見られない。不動産業界の金詰まりは以前より改善したものの、新型コロナウイルスの感染拡大や厳しい行動制限の影響が重く、不動産市場の先行き悲観は変わっていないのが実態だ。

(財新記者:賓宇軒、王婧)
※原文の配信は11月25日

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