ロイホのパンケーキ酷評演出は何がマズかったか TBS「ジョブチューン」巡る炎上騒動を生んだ図式

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もちろん、炎上を招いたそもそもの要素として番組の演出にも少々再考すべき点はあるだろう。

“一流とされるシェフ”たちが、ファミレスの料理をジャッジする、という企画は面白いと思う。

しかし一歩間違えると、今回のようなハレーションを起こしてしまう。

ファミレスは多くの視聴者にとって身近な存在であり、そこで食べる料理も「親しみのある食べ物」である。

自分たちが日頃親しんでいるメニュー(今回はパンケーキ)が、シェフたちに褒められれば、視聴者も自分たちが食べているものが「肯定」された気持ちになる。

愛嬌のなさも相まって

ところが、自分たちが愛しているメニューがシェフによって「否定」されてしまうと、自分たちの「嗜好」まで否定された気分になってしまう。

また「努力している人を貶す」ことに、敏感に反応する人たちもいる。

そういった人たちがSNSで「ひどい内容!」と投稿をするのだ。

その「否定の見せ方」に少しでも「愛」「愛嬌」が感じられれば、視聴者は(気分は良くないけれども)一応エンタメとして受け入れるのだと思う。

しかし今回の「家のフライパンでも焼ける」に始まる発言と、それを見せるテロップの入れ方、編集の〝リズム〟には「愛嬌」を感じることはできない。

この作り方での「否定」は、ロイヤルホストのパンケーキが好きな人には受け入れられないだろう。

自社のロングセラーへ厳しい言葉を受けた「ロイヤルホスト」側であるが、この放送の収録後にも番組に対して「放送をしないでほしい」といったアクションは起こしていない。

「ジョブチューン」のような番組では、事前に番組サイドとロイヤルホストの本社広報で詳細な打ち合わせを行っているはずである。

次ページロイホ側も番組の主旨・内容を理解したうえで出演協力
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