スカイマーク、再上場決定も見えない成長戦略 ANAが株主としての影響力を拡大する可能性も

拡大
縮小

中堅航空会社のスカイマークが12月14日に再上場する。国内の旅客数は回復しつつあるが、上場後の成長戦略は見えない。

スカイマークの旅客機
ついに再上場が決まったスカイマーク。上場で調達する資金で機材の更新・購入を行う(撮影:尾形文繁)

全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が業界を二分する中で、「第三極」とも呼ばれるスカイマークが、12月14日にグロース市場に上場する。11月10日に東京証券取引所に上場が受理された。想定価格1150円どおりの公募となれば、145億円を調達することになる。

スカイマークは、1996年にエイチ・アイ・エスの社長だった澤田秀雄氏(現会長)らが出資し、設立された。座席間隔は、フルサービスキャリア(FSC)と同じながら、安価な運賃で運航していることが強みだ。

国内線で路線を拡大し、2014年3月期には売上高が859億円に達した。しかし拡大路線を志向する中、大型機材であるエアバスA380を購入などで資金繰りが悪化し、2015年に民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請した。

その後、日本政策投資銀行(DBJ)でAIRDO(エア・ドゥ)の再建を担った市江正彦氏を社長に据え、機材はボーイングの小型機「B737」のみで運航を行うなど身の丈に合った経営を行い、再建していた。

再上場申請は2度目

2019年3月期には、売上高882億円、営業利益72億円を記録し、2019年10月25日には東京証券取引所への上場の申請を行った。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、業績が急激に悪化し、再上場は流れており、経営破綻後2度目の上場申請となる。

スカイマーク業績推移
次ページ調達資金の使途と成長戦略は?
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内