日本に「残念すぎる観光地」量産される悲しい事情 「モノマネ施設」はバレる、埋もれる、飽きられる

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第1回の記事(元官僚46歳「夏に稼ぐスキー場」を生んだ逆転人生)で説明した「白馬マウンテンハーバー」についても、テラスの形状、なかでも私たちが「タイタニック」と呼ぶ、白馬岳を目指して飛び出した突端部分は、私たちが設計事務所の遠藤建築アトリエさんと一緒にこだわってひねり出したアイデアでした。しかし開業後4年で、よく似たデザインのテラスが3~4カ所ほど見られるようになってきました。 

残念ながら、日本の観光地や田舎は、「隣でうまくやったことを、そのままコピーすれば大丈夫」という風潮が強いように思います。特にお役所が絡む観光施設では、担当者がリスクを背負いたくないせいもあってか、この傾向が強い印象です。

「この施設、隣町にもありますよね」「この施設、べつにこの町でやらなくてもいいんじゃないですか?」と思うような施設が多く、自分が観光客として回っていてもワクワクしないことが多いというのが実感です。

そんな金太郎飴みたいなコンテンツづくりばかりが先行してしまった結果、「わざわざそこに行かなくても一緒」な残念な観光地が量産され、国内全体の観光の魅力が落ちてしまったのではと感じられてなりません。

「隠れた資産の活用」で守るべき基本スタンス

私たち白馬岩岳マウンテンリゾートでは、磨けばその会社や地域にとって宝物になるのに、何らかの理由で埋もれたままになっている「隠れた資産」を見つけ出し、磨き上げることで新たな顧客を呼び続けています。

その「隠れた資産の活用」にあたっての基本スタンスは以下のようなものだと明示的にスタッフに伝え、新しいアイデアを考えてもらうようにしています。

(1)うまくいっている事例を単にモノマネするのではなく、「白馬ならでは」「国内唯一、国内初、国内でいちばん」にこだわること。
(2)他事例については、「なぜうまくいっているのか」を自分たちなりに分析し、そのいい要素が何なのかを把握すること。
(3)自分たちが隠れた資産の活用を考える際には、他事例のいい要素を構成しなおし、新たな価値を付加すること。目指すのは「第三者の目から見て明確に独自のモノと認定してもらえる」こと。

こうすることで、新たなコンテンツをつくったときにもすぐに埋没することを避けられるようになり、お客さんやメディアなども認知しやすく、発信してくれやすくなるのです。

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