新田恵利さん「悔いなし介護」母との6年半の軌跡 夫の介護を見据える加藤綾菜さんと本音対談

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自宅で6年半の介護の末、昨年3月に92歳で亡くなった母・ひで子さんと。本当に仲が良い母娘だったという新田恵利さん(写真:週刊女性PRIME) 

不満は本人に言わず周りを受け皿に

新田:母が元気だったころは、親子ゲンカをすると母が家を出て行ってしまうんです。友達の家に1泊してすぐ帰ってくるんですけど。ところが、寝たきりになってからは、ケンカしちゃうと母には逃げ場がないんですね。

私が何か傷つけることを言って、母が歯を食いしばって横を向いて泣いているのを見て以来、母を悲しませることは言わないと決めました。でも、ガマンしてばかりいてはストレスがたまるので、嫌な言葉が出そうになったらその場を離れ、自分の部屋で悪口を言いまくっていましたね。

加藤:そういうときって、友達が支えになるものですか? それともご主人?

新田:私は母が39歳のときの子どもなので、やっぱりちょっと介護には早かったんです。周りに介護を経験している友達はいなかったので、もっぱら夫にグチっていました。

夫も最初のころは、善かれと思って私をたしなめたりアドバイスしてくれたりしたのですが、「何も言わないで。ただ聞いて」とお願いして。それからは「うん、うん、大変だね。よく頑張っているね。偉い!」とひたすら聞いてくれるようになりました。

加藤:優しい~。いいな~。聞いてくれる人がいるだけで全然違いますよね。

新田:自分だけの時間をつくるのも大事だと思います。綾菜さんはひとりで気分転換できていますか?

加藤:はい。加トちゃんは昼夜逆転生活で、朝6時に寝て午後1時に起きるんです。私は毎朝、ひとりで近所の喫茶店に行ってのんびりと新聞を読みながらコーヒーを飲むのが楽しみなんです。

新田:それはよかった。今後、もし介護するようなことになっても続けてほしいな。でも、本当に加トちゃんは若いですよね~。こんなにかわいらしい奥さんがいたら頑張ろうという気持ちにもなりますよね。私ったら、大先輩に向かって「加トちゃん、加トちゃん」と言っちゃっていますが(笑)。

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