今見ても驚きの価格破壊「平成のお得な切符たち」 「鉄道開業150年記念パス」を上回る太っ腹ぶり

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こだま花紀行フリーきっぷ

「新幹線乗り放題切符」などまず出さないであろうJR東海が、東海道新幹線40周年記念に発売したのが「こだま花紀行フリーきっぷ」である。東京―熱海間の往復+熱海―米原間の「こだま」と、同区間の在来線(東海道線)普通・快速が1日乗り放題で、価格は東京・品川・新横浜発1万円、小田原発9000円だった。通常の東京―米原間往復が2万4200円であることを考えると、相当に破格の切符であることがわかる。この切符は2004年10月1日~31日の利用限定で前日まで発売、在来線特急は利用不可であった。

ひかり早特きっぷ

「ひかり早特きっぷ」は、席数限定・1週間前まで発売の「ひかり」専用の早期割引の切符だった。東京都区内・横浜市内発着のみで、新大阪まで普通車1万2000円、グリーン車1万4500円。「のぞみ」の普通車指定席料金に450円足せばグリーン車に乗れるというすごい切符だった。筆者は中学生の頃にこの切符のチラシを見つけ、往路だけグリーン車にして初めての日帰り大阪旅行に使った。

ひかり早特きっぷ
「ひかり早特きっぷ」(左)とその特急・グリーン券。これは2012年に使用した際のもの(筆者撮影写真を編集部加工)

新大阪までのほか、名古屋・岐阜羽島・京都から相生までの各駅への設定があった。乗り遅れても後続列車への乗車は不可だが、発車時刻後でも当日中なら払い戻せば半額程度が返ってくる(グリーン車用は1万0090円の手数料が必要)という、乗り遅れに対応した珍しい切符でもあった。

その後は「エクスプレス予約」の早特サービスの充実により姿を消し、21日前までの予約で東京―新大阪間の「のぞみ」が1万2000円台で乗れるようになっている。

往復+特急3日間乗り放題の驚き

北陸フリーきっぷ

「北陸フリーきっぷ」は北陸新幹線開業前、まだ在来線特急「はくたか」や「北越」が走っていた頃に発売されていた、首都圏―富山間の往復(越後湯沢乗り換え・長岡乗り換えどちらかを選べる)+富山―福井間のJR線が特急を含め3日間乗り放題の切符である。2004年4〜6月設定分はとくに安く、1人利用はできないものの、東京都区内発の大人2人用は3万4000円、3人用は5万1000円と、1人当たり1万7000円でこれだけ利用できるという“とんでもない”切符だった。

今は新幹線になって多少料金が上がっているが、東京―福井間往復3万1100円のところが1万7000円、しかも富山―福井間特急乗り放題3日間がついてくるのだからものすごい価格破壊だった。

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