今見ても驚きの価格破壊「平成のお得な切符たち」 「鉄道開業150年記念パス」を上回る太っ腹ぶり

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そんな価格破壊のきっぷに客が群がらないはずはなく、最終日夕方の盛岡発「MAXやまびこ」は、仙台到着時点で車内の階段まで満員で、仙台から乗り込もうとする客からはブーイングの嵐。「新幹線でこれはないだろー!!」と叫ぶ人もいたほどであった。筆者も盛岡から大宮まで座ることができなかった。

完全民営化記念JR東日本パス
JR東日本が完全民営化を記念して2003年に発売した「JR東日本パス」(筆者撮影写真を編集部加工)

このほか2011年の6月・7月にも、東北復興支援を目的に1日用のみではあるが、1万円で特急・新幹線乗り放題という内容で「JR東日本パス」が発売されている。こちらも2回までは指定席が利用できた。利用期間は1日なので、このときのJR東日本の発表資料には「有効期間1日タイプですので、日帰りのほか、往路と復路の利用日に購入し目的地に数日滞在するなど、フレキシブルにご利用いただけます」との記載があった。1日単位で必要な分だけ買えばいいのは非常に使い勝手がいい。

3日間乗り放題の「太っ腹」切符

三連休パス

これは2001年に発売が始まった切符だ。JR東日本が指定する3日間(3連休や平日に休みを取れば3連休になるような日取り)に新幹線や特急を含む全線が乗り放題で、4回まで指定席が利用できた。価格は大人2万4000円、中高生1万2000円、子ども4000円とかなり安い。しかも大人と子どもはプラス4000円でグリーン車指定席を4回まで利用できるという太っ腹ぶりだった。

当時、中高生だった筆者は年に何回もこの切符を利用していた。ときどきグリーン車用も使ってみたいと思ったが、中高生にグリーン車なんて生意気だということなのか設定がなく、2万8000円出して乗るか、でもそのお金があれば普通車用2回か「土日きっぷ」(後述)を3回買えるよな……などと考えて諦めていた。

発売開始当初はJR東日本線のみ有効であったが、その後2004年7月の設定分からフリーエリアが函館まで広がり、さらに北越急行線や伊豆急行線などJR特急の乗り入れがある路線や、新幹線開業で経営分離された元東北本線の青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道も利用できるようになった。その分値段は上がったが、それでも大人2万6000円、中高生1万4000円、子ども5000円で、グリーン車用はプラス4000円であった。

三連休パス
「三連休パス」は当初JR東日本線のみ有効だったが(左)、その後函館までフリーエリアが広がった(右)(筆者撮影写真を編集部加工)

だが、その後グリーン車用の設定がなくなり、2010年春の設定を最後にひっそりと姿を消してしまった。その後は乗車券部分のみ有効(特急や新幹線利用は別に料金を払う形)のフリーパス「スリーデーパス」「三連休乗車券」「三連休東日本・函館パス」(大人1万4370円・子ども4390円・中高生料金は廃止)が発売され、2021年1月分の設定をもって廃止となった。

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