下着ユニバが「令和らしい炎上」である3つの理由 バカッターの歴史が若い世代に受け継がれず…

拡大
縮小

そんな文章メインという性質が変わったのが、2014年のインスタグラム日本上陸だ。正方形の画像がどーんと配され、文章はあくまで添えものというスタイルは、これまでのSNS観を大きく変えるものだった。3年後には「インスタ映え」がユーキャン新語・流行語大賞(年間大賞)となり、確固たるポジションを築くのと並行して、インスタを起点にした炎上も目立つように。TikTokの登場で動画投稿のハードルも下がり、ネットで消費されるSNSコンテンツは、一気にビジュアル重視へと移っていった。

そうしたなかで、若者が使うSNSにも変化が生じ、過去の炎上例からの学びの蓄積が適切に行われなかった、引き継がれなかったのではないか……というのが、1つ目の指摘である。

(2)インスタとツイッターといったサービスによる文化の違い

次に(2)だが、今回の事案では、インスタに投稿された画像が、ツイッターに転載され、炎上が加速した。ひとくくりで「SNS」として見れば、両者の違いはあまりないように思えるが、それぞれ異なる文化を持っている。

例えば、インスタとツイッターは、受け手の楽しみ方も異なる。ファンを中心に「いいね」の輪を広げるインスタに対し、ツイッターは斜に構えたユーザーが珍しくない。もちろんどちらが良い悪いという話ではない。ただ、インスタの「称賛」でつながる関係性が、よりインスタグラマーの行動を過激にさせ、結果的に常識の外に追いやってしまうケースがあることは否めない。

2019年にも、今回と似た事例があった。とある女性モデルがテーマパークに面したホテルの一室で撮った写真が話題に。カーテンが開いた窓際に、きわどい格好で立つ様子をインスタグラムに掲載し、ツイッターに転載され、今回同様の批判が相次いだ。「インスタの常識が、ツイッターの非常識」ということは珍しくなく、それが火の元になったり、対応が後手に回ったりする要因にもなりえるのだ。

(3)仲間内と世間での価値観の違い

また、あえて推測すれば、全世界で誰でも閲覧できるSNSにもかかわらず、内輪ノリで乗り切れると思った「見込み違い」もあったのではないか。

次ページ常に衆人環視にさらされている前提が必要だ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT