植田:そのとおりです。また、そもそも日本ではある程度の年齢になると新しいことに挑戦するのをためらう人が少なくないように感じますが、私個人としては、年齢によって自分自身に枠をはめることには賛成できません。
早期退職に応じるのは合理的な選択肢
植田:私自身も弁護士になったのは54歳です。意欲を持ってチャレンジすれば、いかようにも自分の人生を変えられますし、なりたいものにもなれると信じています。ですので、年齢がいくつであろうと新しいことの開拓や、夢の実現に向けた努力というのは続けるべきです。
「人生100年時代」という言葉は、すでに使い古されて新鮮味がなくなりつつありますが、80代くらいまで健康寿命が延びるのはほぼ確実です。仮に50歳で自らを変えることをやめてしまうと、その後の数十年がとてもつまらないものになってしまいます。
前回も述べましたが、ここ数年、製造業の大手各社で早期退職を募ると、数千人単位で応募してくると聞いています。
早期退職なので対象は40代以降だと思いますが、おそらく募集に手を挙げた人は、いずれキャリアチェンジをしなければいけないことを認識されているのだと思います。だとしたら、上乗せ退職金をもらったほうが得だと考えるのは非常に合理的な判断です。
昔と違って今の高齢者は年齢の割に元気な人が多いし、今後ますますそうなっていくでしょう。しかし、同じ会社にずっとい続けることはどんどん難しくなるので、次のキャリアに向けて準備を始めるのは、早いのに越したことはありません。
妹尾:確かに、早期退職をネガティブにとらえるのではなく、次のキャリアへ進むためのいいきっかけだととらえると、受け止め方が変わりそうですね。
妹尾 輝男
ヘッドハンター、コーン・フェリー元日本代表
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せのお てるお / Teruo Senoo
1975年、横浜国立大学卒業。ロンドン、バミューダ諸島、東京にて石油製品トレーディング会社に勤務した後、1988年、スタンフォード大学で経営学修士(MBA)取得。ベイン・アンド・カンパニーを経て、世界最大の人材組織コンサルティング会社コーン・フェリーに入社。
同グループで30年以上、主にグローバル・トップ企業のエグゼクティブ・クラスを対象に、ヘッドハンターとして第一線で活躍。その間、日本法人社長を9年間、会長を1年間務め、現在は特別顧問。ヘッドハントしたエグゼクティブの数は400人を超える。
植田 統
国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授
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うえだ おさむ / Osamu Ueda
1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)。