「45歳の壁」を乗り越えた人だけが手にするもの 中高年を襲う「こころの定年」あなたは大丈夫?

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第3の質問は、「いままでに体験した大きな挫折は何?」です。

これまで多くの人の話を聴いてきて、挫折や不遇な体験をきっかけとして、別の道に向かう人が少なくないことに気がつきました。私自身がそうでしたし、ほかにも「病気になった」「左遷された」「家族の問題」「震災で被災した」など、挫折や不遇と思える体験をもとに次のステップに進む人がいます。

挫折を契機に自分自身に向き合う

軽い脳梗塞を患い、本人の意欲はあったが、ラインの仕事に戻れないことをきっかけにして、地元で社会保険労務士として独立するために準備を始めた人や、自分に合わない上司との関係に悩みに悩んで、会計監査に関する資格を取得して職場を変わり、その学びを続けて最終的には大学の教員に転職した人もいます。

銀行員時代に上司との折り合いが悪く関連会社に左遷になったことがきっかけで、お遍路の分野で活動している人や、阪神・淡路大震災に遭遇したことから地元神戸の地域活動で活躍している人などなど。そういう大変な状況を契機に、自分自身の可能性に向き合うことによって新たな道を発見する人もいます。マイナスと思えることがプラスに転じる場面の話を聞くことは、取材でいちばん醍醐味を感じることができる瞬間です。

もう一度、3つの質問を繰り返してみましょう。

質問1 大人になる途中でやり残したことは何?
質問2 いままでの仕事で極めたスキルは何?
質問3 いままでに体験した大きな挫折は何?

もしあなたが、自分の会社員人生について悩んでいるのであれば、この3つの質問を自らに問い直して考えてみてください。

楠木 新 人事コンサルタント

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くすのき あらた / Arata Kusunoki

1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

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