ハリウッドのプロデューサーやエージェントは、最初のころ、シュワルツェネッガーを見て「成功するとは思えない」と言っていた。
「オーディションを受けたことは1度もないんだ。どこにでもあるようなものを得ようとは思わなかった。
だって、自分は普通の見た目なんかじゃないって分かっていたからね。だからこんな風に考えていたんだ。
みんな同じような見た目を目指して、カリフォルニアによくいるブロンドになろうとしている。ハリウッドでインタビューを受けたって、彼らが求めてるのは、引き締まった身体にキュートな顔立ち、そればかりじゃないか。
自分しか持っていないものを、どうやってニッチに合わせることができるんだろう……もちろん全否定する人たちはいたさ。こう言うんだ。『あのさ、もうボディビルの時代は終わったわけ。もう20年も前にね。君は大きすぎるし、マッチョすぎる。映画に出るなんて無理無理』」
当時の人気者は、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、ウディ・アレンなど小柄な役者ばかりで、彼の体格は「俳優としては大きな障害になる」とまで見なされたのだ。
だが、シュワルツェネッガーは、その体格を活かす仕事が必ずあるはずだと考え、時機を待った。待てたのは、彼がすでに不動産投資で築いた財産を持ち、日々の生活にあくせくして焦る必要もなかったことが大きい。
成功の秘訣は、たくさん助けてもらうこと
結果、『ターミネーター』をはじめとする作品によって、最大の弱点と見なされた彼の体格は、最高の財産に変わった。
シュワルツェネッガーが講演を行うと、決まってこう聞かれるという。
「あなたは自分の力だけでたたき上げてきた。その成功の青写真は何でしょう?」
その答えはこれだ。
「別に自分の力だけで成功したわけじゃない。たくさん助けてもらってきたんだ」
シュワルツェネッガーはこうも言う。
「私には大志があった。燃える情熱もあった。しかし、宿題を手伝ってくれた(勉強しないときには、引っぱたいてもくれた)母がいなかったら、どこにもたどり着けなかっただろう」
「『人の役に立て』とアドバイスしてくれた父や、売り込みのコツを教えてくれた先生、重量挙げの基礎を指導してくれたコーチがいなかったなら、今の成功はないはずだ」
「私たちは誰でも、走るための燃料が必要だ。他人から助けやアドバイスを得たり、触発されたりすることがなければ、心はいつかきしみながら停止する。私たちはどこにも行けず立ち往生してしまうだろう」
「ありがたいことに、私はこれまで、人生の節目ごとにメンターやアイドルを見つけることができた」
本書には、各ジャンルで自分の道を切り開き、独自の成功を収めた成功者106人の知られざる成功法則がたくさん詰まっている。
どこから読んでも読み進められるので、ちょっとした空き時間にさっと眺めて、気に入ったものがあったらすぐやってみることもできるだろう。
シュワルツェネッガーが寄せた本書へのまえがきの最後にもこうある。
「自分1人では成功できない、と認めていいのだ。もちろん、私も1人では成功できなかったし、誰でもそうだ。それではこれからページをめくり、多くのことを学ぶことにしよう」
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いずみ もくれん / Mokuren Izumi
1977年三重県生まれ。24歳でイベント企画会社を起業し、即刻倒産。借金返済のために働く日々をつづったWebサイトが話題を呼び、作家デビュー。以降、週刊誌やWeb媒体等で執筆。TOKYO MX「モーニングクロス」「激論!サンデーCROSS」などテレビ番組でレギュラーコメンテーターとして出演。著書に『オンナ部』(バジリコ)、『エム女の手帖』(幻冬舎)、『会社ごっこ』(太田出版)等。趣味は合気道とラテンDJ。
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